驚愕の事実
【キメラです。キメラの吸収により、スキルが強化されました】
ヘビキメラを吸収したことでパワーアップしたようだ。
戦場はヘビキメラの血潮や傭兵の死体で混沌としている。
ボタン達を引き連れて早急に引き上げる。
「お、おい、ヘルメス。おまえは一体なんなんだ?君の中にはなにがいるんだ?君はキメラなのか?」
「今はトロルしかいませんけど、ボクはキメラ持ちです。あまり言わないでくださいね?」
ボタンは頭を縦に振った。
それと今回のダンジョン攻略はボタンたちの手柄だということにしてもらった。
ボク達はキメラに襲われて死んだ設定だ。
ボクがキメラだとわかったらダンジョンの主が出てきたと勘違いされかねないからね。
ダンジョンから帰る道中、魔物の群れと出会したが襲ってくる気配はさらさらなかった。
安心して無事に入り口まで辿り着くと、警備をしていた傭兵達が驚き顔で近寄ってくる。
「お、おい!お前らなんで生きてるんだ?!」
「他の奴らは?!」
「奥のキメラ倒したのか?!」
「生きてるのはお前ら2人だけか?!」
質問攻めに合っているボタン達
それを僕ら2人は後ろの岩陰から見守る。
「あ、あぁ…結構強かったよ。な?アイサ」
「そ、そうね。割と手こずったがね」
傭兵達の眼差しが尊敬へと変わる。
すげぇ!感動するぜ!尊敬だ!などと四方八方から称賛されている。
いいなあ、ボクもやっぱ褒められたい。
この後は街からダンジョン攻略確認の傭兵団が出兵するそうだ。
ボタン達は行きの扱いが嘘のように丁重に馬車に載せられて帰って行った。
「ペネロペ、もう街には戻れなくなったけどボクのとこ来るかい?」
「ヘルメスのとこにいく」
「ちょっと暗いけど本当にいいの?」
「うん」
ペネロペは頭に生えた羽を使ってトロル達が待機する森まで送ってくれた。
辺りはもう真っ暗だ。
トロル達が見えてくるとペネロペの顔がちょっと強張った気がした。
「え?トロル…?」
「そう、ボクの仲間だよ、一応…」
トロル達が近寄ってくる
「カシラ!やっと戻りましたか!」
「長かったですね!」
「その魔物は誰ですか?」
こちらでも質問攻めだ。
ボクは街に入ってからのことを洗いざらい話した。
「ふむふむ、なるほど、その魔物は元は人間。街で出会った子供だったのですな」
「そうそう」
「して、なぜ魔物になったのですか?」
「それはね」ーー
トロル達もヘビキメラを知っていたようでその話題を出した瞬間飛び跳ねた。
「そ、それはエステート様ですよ!!」
「無礼なこと、しなかったですか?!」
「よく無事で帰ってこれましたね!」
「エステート様になにされました?!」
「殺したよ」
キャンプファイアの薪の焼ける音だけが森にこだまする。
数秒の沈黙の後、ムギチャが切り込んだ。
「あ、じゃあカシラがこの地域のトップですね」
「この地域の魔物はカシラに従います、たぶん」
「え、」
次はこっちが固まってしまった
ボクがこの地域のトップ?
「まって!あれがエステートなわけないよ!ダンジョンの中もあんまり魔物が襲ってこなかったよ?!」
「それはダンジョン内の魔物が冒険者にあらかた狩尽くされてるからです。けどもそれは理由の一つにすぎません。実際はエステート様自身が強いため、ダンジョンに魔物がいなくてもエステート様単体で成立してたんですよ」
「そうそう、普通強い魔物は単体で存在しますから」
横でくすくすとペネロペが笑っている、
ボクはまだ冒険者としてすら駆け出しレベルなんだよ?!
冒険者はレベル1!魔物だったら地域No. 1!どういうこと?!
「カシラ、とりあえず今日は帰りましょう。ダンジョンはトトノに任せきりですから」
そうだった、トトノに任せていたことをすっかり忘れていた。
一旦ボクのダンジョンに帰らなくては。
【ヘルメス・アドレア】
性別 男
年齢 15歳
職業 ダンジョン管理「トロル・オブ・デス」
スキル 混合
内訳 レイナ、トロル
仲間
内訳 トロル5体、トトノ、クロカラスとクロウルフ多数、ペネロペ(エキテケスタイル