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ヘビのキメラ

「ブランツ様!こいつらです!こいつらが入場門をこじ開けました!」


 ブランツと呼ばれた大男は仁王立ちでこっちを見ている。

 ボク達は縄で縛られ、大きなお屋敷に連れてこられた。

 

「ふむ、こんな子ども達が。して、どのようにスライムを生み出した」

「すみません、なかなかこいつら口を割らなくて」

「イタズラでは済まされんぞ。私が国王でないだけ運がいいと思ってほしいものだ」


 ブランツは髭をなぞっている。

 なんだよニヤニヤしやがって。


「進言します」


 後方から細身の男が手を挙げてやってきた。


「ブランツ様、この子供達の処遇にお困りなら本日行われるダンジョン遠征に向かわせてはどうでしょうか?」

「ほう、ダンジョン遠征か」

「はい、門を突破した罰を受けさせるべきです」

「そうか、門の警備はジャナフ、お前が管轄していたな。この件のケジメを取らせる。お前に一任しよう」

「ありがとうございます」


 怖い顔でこちらを見てくるジャナフという男。

 ボク達はどうなってしまうのだろうか。


「かわいそうだな、あの歳でダンジョン遠征の人柱なんて」

「今回向かうダンジョンってキメラが君臨するダンジョンらしいぞ」

「うわぁ、人柱か…罰っつってもそもそも生きて返すつもりなんてさらさらないってことか…」





 ボク達は荷馬車に乗せられた。

 どこに向かっているかわからないがずっと走っている。

 そんな荷馬車の中にはボクたち以外にも2人の大人がいた。

 1人は浅黒く筋肉がムキムキのおじさんだ。

 もう1人は汚れているが黄色く煌めいている長い髪の女性。


「あんたらも人柱?そんな幼い年齢でなにをやらかしたんだ?」

「盗みか?脅しか?もしかして強カn…」


 女性がおじさんを殴る。

 お互い知り合いのようだ。


「ワタシ達は不法侵入」

「なに?!不法侵入だと?!ワッハッハ!」

「あんたら、まさか今朝のスライム騒動の子供かい?ワハハ!」

「うるさいぞ!人柱!静かにしろ!」


 盛大に笑われた。

 

「逆にあなた達は何したんですか?」

「俺はボタンつってよ、お前さんたちドワーフって知ってっか?おれ職人なんだけどよ、この街のやつケチでよお、頼まれた金額通りの家作ったら詐欺で訴えてきやがった!良い家住みてぇならもっと金払えってんだ!」

「私はアイサ。酒場で働いてたんだけどね、酔った客を殴ったらお偉いさんでさ、このザマさ」


 物騒な人たちだな…

 けど幸い悪い人たちじゃなくて良かった。

 ほっとして話をし出すと馬車が止まった。


「おい、ついたぞ。おりろ」


 傭兵に連れられ向かった先は大きな洞穴だった。つまりダンジョンだ。

 僕たち4人が先頭を歩かされる。その後ろに10人の傭兵。


 「ほら、歩け!お前らが先頭だ!」

「なんだい、言われなくても行くよ!」

「人使いが荒いなぁここの傭兵さんはよぉ」


 アイサもボタンも黙々と歩いている。

 けど、横のペネロペはブルブル震えている。


「ワ、ワタシ、暗いところ苦手」

「ボクがいるから大丈夫!」


 そうそう!ボクもレイナもトロルもいるから!

 …ごめんやっぱボクも怖い。


 途中のわかれみちでボクとボタン、ペネロペとアイサに分けられた。

 今のところ魔物の出る気配もないけれど…

 そう思った矢先、魔物が死角から飛び出してきた!


「戦闘準備!!子供の頭上に飛んでいるぞ!!」


 飛び出してきた魔物はエキテケと言われる魔物。

 コウモリの羽を頭から生やした可愛らしい見た目の魔物だ。(レイナ曰く8部音符♪ってやつに似ているらしい)

 こんな小さなところじゃトロルになれない!

 ボタンさんも魔物に襲われている!

 傭兵たちの攻撃も効いてなさそうだし


(「恥ずかしいけど、暗いから大丈夫だよ!」)


 レイナ!オネガイ!チェンジ!

ーーパチン!


「よっと!はっ!!!」 

ーーびちゃびちゃ


 レイナの放った魔法はエキテケにぶつかり

 轟音を立てて魔物が弾ける。

 紫の液体が体に飛び散る。

ーーパチン!


 ありがとうレイナ!!

 エキテケは見るも無惨な姿に変わり果てている。

 その姿を見てトロルを倒した時を思い出した。


「あ!!そうだ!!」


 エキテケの欠片に触れた。

 エキテケの欠片は光の泡に変わり、ボクの体に吸い込まれていく。


「お、おい、今のって…」

「あの坊主とおっさん、どっちがやったんだ?」

「いや、暗くて見えなかった。けど女の声しなかったか?」

「怖いこと言うなよ、こっちは男だけだぞ」

「おれには何も見えなかったぞ」


【キメラです。補完上限が超えています】

【エキテケとスライムを混合しますか?】


「おねがい!」


【エキテケとスライムを混合し、保管します】


 やった!やっぱりだ!

 トロルやトトノの時と同じだ!

 倒した魔物は捕まえられる!

 魔物同士も混合できる!

 喜びに浸っているとボタンさんに話しかけられる。


「お、おい坊主。おまえ、今のって禁止魔法じゃねぇのか…?」

「禁止魔法ってなんですか??」

「あ、あぁ。2つあってな。本でしか見たことないが、爆裂する死の魔法と存在を消す死の魔法の2つだ…そもそもそれ使おうと思っても方法なんてどこにも書いてないけどな」

「ボクそんな魔法習ったことないですよ」


 レイナももちろん知らないだろう。

 

ーードゴォ!!!


 突然、行き先から大きな音が聞こえた。

 魔物を倒して気を抜いていたボク達は大急ぎで音の先に向かう。

 そこには広い空間に複数の腐った傭兵の死体、倒れたペネロペとアイサがいた。


「な、なにがあったおまえたち!!」

 

 傭兵は彼らに駆け寄る。

 目の前では異常な光景が広がる。

 その大きな空間の奥にはボクぐらいの少年が立っていた。


「また雑魚か??僕のダンジョンに来たならもう少し強くなって来なきゃね。じゃないと、みんな食べちゃうぞ?」

「キメラだ!!あいつがキメラだ!!やれ!!」

「いけいけいけ!魔法を打て!」


 傭兵達はその少年に向けて数多の魔法を放った。

 氷、炎、雷、数多の種類が放たれる。

 それら魔法が爆発して生まれた砂煙の中から出てきたのは

 大きな大きなヘビだった。


「ボクにそんなチンケな魔法が効くと思ってるの?」

「変化したぞ!!あいつだ!!やはりヘビのキメラだ!!」


 少年がヘビに変わっている!!!

 もしかしてボクと同じスキル持ち?!



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