プロローグ
ボクは大冒険者になりたい13歳、ヘルメス。
持ち前の明るさと努力家が売りの好青年だ。
出生時、スキル判定で「混同」という特殊スキルを宣告されたもののそれから十余年、一切使ったことがない。
使ったことがないというより使い方がわからない…
持ち前の明るさでなんとか今までこれだけど、冒険者になれるのか不安です…
昔、村の子供会で「楽しい人ランキング1位」に選ばれたことあるからきっと大丈夫!
今日はお母さんに頼まれて隣町まで魚を買いに来ました。
どの魚も美味しそうだなー!
そういえばお母さん、今日は雨が降るから早めに帰っておいでとか言ってたな。
早めに決めないと! この赤い魚にきーめた!
帰り道には商隊がいた!
珍しいものばっかりでつい道草食っちゃった!
気がつくと空は真っ暗、雨も降ってきた…
ーーピカッ! ゴロゴロ!
雷も鳴り出した!
やばいやばい、お母さんが心配しちゃう。
ボクの村まであと少し。
門が見えてきた! いつもの門番さんだ!
「おーい!」
ーーピカッ! ズガガガガガン!!
体に電流が走る。
「アアアアアアアアアアアッ! おかあさぁぁぁぁぁぁぁぁぁあん!!」
???
痛くない。
怪我もない血すら出てない。
何が起こった? ボク死んでる??
驚いて倒れちゃったけど。
グッパー、グッパー。
手足も動く。
「ヘルメスくん!! 大丈夫か!!!」
門番さんが心配そうに見ている。
「大丈夫…だと思いますけど…ボク、雷に打たれてましたよね?」
「あぁ、目の前でこう、ビカッ! とね」
見えている体をくまなく調べるが何も異常はない、っぽい。
あるとすればさっき買った魚がいい感じに焦げている。
「心配かけてすみませんね、何もないようなのでお家に帰ります」
門番さんが一応と小さな氷を渡してくれた。
お家に帰るとお母さんは本を読んでいた。
「あらお帰り、雨大丈夫だった?」
「あ、まぁはい。この通り、魚まで焼いてきましたよ」
袋の中の魚を見せる。
(「この子の家は幸せそうだな…お母さんと会話なんて久しくしてないや…」)
?!
「お母さん何か言った?!」
「何も言ってないわよ」
今のは何だったんだ?
「ただいまぁ〜」
お父さんが帰ってきた。
ボクが買ってきた魚を使って夕飯にする。
(「へぇ、家族団欒かぁ久しくやってないや。部屋で食べたカップ麺、味しなかったしなぁ。豚骨にすれば良かったか」)
?!
「お母さん!! いまなんかいったでしょ!」
「何も言ってないけど? さっきからあなたどうしたの?」
おかしい。ボクの体から声が聞こえる?
雷に打たれたせい?
でも体に異常はなかった。
夕飯が終わり、急いで自分の部屋に戻った。
裸になって見てみるけど、やはり自分の体に異変はない。
おかしいなぁ…
綺麗なお尻だ。
ーーパチン!
張りもある!
腹筋もちょろっと割れている!
冒険者になるため毎日トレーニングしているからね。
やっぱり異変なんてない。
おかしい! そう思って自分のほっぺを両手で叩く。
ーーパチン!
ーーぶるん!
?!
「…え?? キャァァァァァァァァ!!!」
なんで私が鏡の前に立ってるの?!
中途半端に肉付いた私の体があらわになってる。
さっきまでショタの生活覗き見してたのに?!
入れ替わる? 体も意識の主導権までも交代してる?
(「ぼ、ボクの体が!! 女の人の!! 女の人になってる!!」)
体の中からボクくんの声がする!
私も早く交代したいよ!
無理無理無理無理!
どうにかして戻りたい。
(「おねえさん! ボクの体返してよ!」)
ごめんねショタくん、私も返してあげたい。
ショタの体もっと見t…違う違う、外出るの嫌だし。
(「ボクの名前はショタじゃなくてヘルメスだよ」)
はいはいごめんね、私も戻りたいんだって!
この子のためにも私戻らないと。
ーードタドタドタ。
階段を上がる音がする。
「ヘルメスー! 大丈夫かー! 何があったー?」
やばい! この子の親が来ちゃう!
えっとなんだっけーなんだっけー。
たしかこの子が変わる前にやってたことーー
これだっけ?
お尻を叩く。
ーーパチィン!
高い音が無駄に響く。ただそれだけ。
あ、あれ?? なんかすごいミジメなんですけど。
変わらない体にアタフタする。
「ヘルメスー! 開けるぞー!」
まずいまずい!!
必死に思い出す。
あー!! これ!!
自分の頬を勢いよくビンタする。
ーーバチィン!!
変わらない!! 痛いだけ!
違うこっちだ!
頬に両手を当てる。
ーーパチィン!
ーーボフン!!
やった!!!ボクの体に戻った!!
ーーガチャ。
「おい、ヘルメs…ご、ごめんな、取り込み中か。いま閉めるからな」
「待ってお父さんちがうちがう!!」
絶対勘違いされた!!
ちがうのおとうさん!! 何も変なことしてないから!!
(「フッ…笑」)
体の中から笑い声が聞こえる。
もーう! どうしてくれるんだ!
「おとうさぁぁぁあん! 違うからねーえ!! お母さんに言わないでええ!!」
読んでくださってありがとうございます!
ショタがほっぺを叩くと肉体もそれを操る意識の主導権も全てレイナに切り替わっています。逆もまた然りです!
ジャン○フォースのキャラ切り替えをイメージしてます!