王室家族専用食堂にて
◆◇ 第七章 ◆◇
リスティアル王国国王レスターと王妃へレナは4人の王子に恵まれた。
* 第一王子:アーサー 24歳 *
王太子としての自覚があり政務も優秀だがとにかく太り過ぎなのが残念
* 第二王子:ノア 20歳 *
勉強・研究が趣味の学者タイプ。見た目はアーサーの正反対で痩せすぎ
* 第三王子:マティアス 17歳 *
剣術馬鹿と言われるほど剣術好き。美丈夫でご令嬢には人気だが興味なし
* 第四王子:ジョシュア 12歳 *
まだあどけなさが残り天使のように可愛らしいが少々小生意気なところあり
今日の晩餐は家族専用の食堂に集まるようにと陛下から通達があった。
最初に現れたのは第一王子のアーサーと第二王子のノアだった。
「ノア、今日の招集理由を知っているか?」
「いいえ、特に聞いてはいませんが、母上あたりが言い出したのでは?」
「そうか。そうであればいいのだけど。。。」
「何か不安でも?」
「う~ん。ここにお呼びがかかる時は父上からのお小言があるからな。」
「兄上何か心当たりでも?」
「いや、でも嫌な予感がするんだよな。」
2人が席に着くとマティアスと第四王子のジョシュアが入って来た。
「アーサー兄上、ノア兄上、お久しぶりです!」
「おぉ、ジョシュア元気にしてたか?最近は忙しくて会えなかったからな。」
アーサーはそう言いながらジョシュアの頭をポンポンと叩いた。
「あー、また子供扱いしてー」
続いてマティアスもアーサーとノアに声をかけた。
「兄上たちすでにいらしてたんですね。」
「もしかしてお前が何かやらかしたのか?」
「まさか~、俺が剣術しかしてないのは兄上たちが一番ご存じじゃないですか~。」
アーサーの問いかけにドキッとしたマティアスはヘラヘラしておどけて見せたが、内心はフェリシアの存在が気づかれてしまったのではないかと不安でたまらなかった。
四兄弟で談笑してると間もなく食堂のドアが開き国王夫妻が入って来た。
「まぁ、みんなもう来ていたのね。こうして揃うのも久しぶりだから楽しみだわ。」
ヘレナ妃は嬉しそうに話すが、上の三兄弟は頭を垂れ黙り込んでいた。
「さぁ、全員揃ったことだし始めようか。」
陛下の言葉を合図に料理が運ばれてきた。
さすが王宮の料理だけあって食材はもちろん味付けも一級品であるが、
楽しんでいるのは国王夫妻と第四王子のジョシュアだけだった。
「あら、このお肉柔らかくてとってもおいしいわねぇ。」
「ジョシュア、ちゃんとお野菜もいただくのよ。」
「はい、母上。ちゃんと食べてます。」
年上の三兄弟は早くこの時間が終わってくれることを願いながら黙々と食べるだけだった。
「アーサー兄上は少し量を減らした方がいいんじゃない?」
ジョシュアはアーサーが一番言われたくない言葉を浴びせた。
「ジョシュア、うるさい!」
「まぁまぁ、兄弟ゲンカなんて相変わらず仲がいいのね、フフフ。」
何も気にすることがない王妃がこの部屋内の張り詰めた空気を緩和してくれていたのは間違いなかった。
ここで陛下が口を開いた。
「今日はお前たちに伝えたいことがあって集まってもらったのだが。。」
ついに来たか。。。。
第一から第三王子たちは死刑宣告でも受けるかのように目を閉じうつむいた。
ジョシュアだけが嬉しそうに「何々?」と言いたげにキョロキョロしていた。
「今現在我がリスティアル王国は経済も政治も全てにおいて非常に安定している状態だ。」
一同ウンウンとうなづく。
「これは先々代の功績が大きいが私の代まで崩れることなく続いている。」
再び一同ウンウンとうなづく。
「王国の繁栄は我々王族の為でもあり国民の為でもある。それには継承してくれる人材が。。。」
あっ、マズイ展開になってきたな・・・アーサーの顔色がだんだんと青ざめてきた。
「お前たち、世継ぎという言葉を知っているか?」
一同一斉にウンウンとうなづく。
「適齢期の王子が3人もいるのに誰一人結婚はおろか婚約者もいないではないか。」
一同視線をそらすとジョシュアだけがニヤニヤしている。
「いいか、来年の新年祝賀会までに必ず婚約者を決めること!特にアーサー!」
「は、はい」
うわずった声で返事をしたアーサーの顔には妙な汗が出始めていた。
「宰相はお前のことを王太子としての自覚もありよく勉強していると褒めていたぞ。」
「あ、ありがとうございます。」
「あとは妃だけだな。」
「・・・・・」
「夜会はもちろん、令嬢たちが出席する行事等にも積極的に顔をだすこと。」
「も、もし決められなかった場合はどうなるのですか?」
「決められなかったら?それは国王陛下として強制的に決めるしかないな。」
「はい、承知しました。。。」