マティアス殿下!このルーファスがお手伝いいたします!
力づくでフェリシアとお近づきになったマティアス。でも、女性免疫がなく次はどうしてういいのわからずじまい。そこで側近騎士のルーファスが強い味方になってくれることに。。。
◆◆第二章◆◆
フェリシアを見送ったルーファスが執務室に戻ってくると、マティアスはテーブルに足を投げ出しふんぞり返って座っていた。
その顔は何とも言えない複雑そうな表情だった。
「殿下、フェリシア様を門まで送りました。彼女の侍女が待っておりましたのでよかったです。」
「あぁ、ありがとう。」
「で、今度は今日のことを説明してもらいましょうか、殿下。」
マティアスはルーファスの質問には答えず逆に聞き返した。
「ルーファスはフェリシアと知り合いなのか?」
驚いたルーファスは目を見開いて答えた。
「何をおっしゃるんですか。先ほど殿下が抱いて来られた時に初めてお会いしましたよ。」
「本当か?それにしてはやけに親しげに話していたではないか。」
「普通ですよ。あの程度の会話なら初対面でもするでしょう。」
ルーファスはクスクス笑いながら続けた。
「殿下、それはヤキモチって言うんですよ。」
「な、なにぃ。」
「殿下、だいぶこじらせちゃってますね。」
「そ、そんなことない!」
「安心して下さい。殿下の恋路を邪魔する気は全くありませんから。むしろ応援いたしますので状況を話して下さいよ。」
実はマティアスも今日はことが上手く運んだものの
フェリシアとの関係をこれからどう進めていけばよいのか頭を抱えていたので、意外と素直に昨日からの出来事を話し始めた。
「こんな事はルーファスにしか話せないしなぁ。。。」
「要はフェリシア様にひとめぼれしちゃったんですね。」
「う、うん。」
「素敵なことじゃないですか! それに殿下とお似合いだと思いますよ。」
「そう思うか?」
「えぇ、貴族令嬢なんて言えばお高くとまっていそうですけど彼女はそんな感じではないようにお見受けしました。木剣持って素振りをしてくれるご令嬢なんてそうそういないですからね。」
ルーファスに痛い所を指摘されたマティアスの頭はだんだん下に垂れていった。
「でも、そういう無邪気なところが殿下と合うような気がしますよ。」
マティアスの顔が急にほころび始め納得するようにウンウンと頷いた。
「殿下、このルーファスにお任せ下さい。私は殿下の幸せを願っていますよ。」
「お前が側にいてくれて本当に助かるよ。」
「さぁ、殿下、会議が始まりますよ。ひとめぼれ成就作戦はまた後にしましょう。」
2人は騎士団棟から王宮内にある会議室へ無言で向かった。
マティアスは明日のフェリシアとの会話を考えながら、
また、ルーファスは愛すべきこの王子の初恋をどうやって実らせるかを思案しながら。。。。
一方、スィントン家ではフェリシアが今日の出来事を家族の前で楽しそうに語っていた。
「それでねお父様、、」
話しを続けようとするフェリシアをスィントン侯爵が遮った。
「フェリシア、よく聞いて。マティアス様は第三王子とはいえ立派な王族だ。失礼な態度はとっていないな?」
「えぇ、もちろんです。お父様お母様にも教えて頂いたし、それに家庭教師の先生に習った通りにしましたわ。」
「そうか。。。 お前は末っ子で私たちはついつい甘やかして育ててしまったし、それにまだ社交界にもデビューしていない。私は心配なのだよ。」
「お父様、大丈夫ですわ。今言われたことを肝に銘じて明日も殿下のお相手をしてきますね。」
「ふむぅ、お前のそういう性格を良く受け取って頂ければいいのだが、利用されたりしないか気がかりでもあるな。。。この先何かあるような気がしてならないのだよ。」
「もうー、お父様ったら心配性すぎです!」
「そこだよ、そこ、心配なのは!」