二人だけのお茶会
◆◇ 第十章 前編 ◆◇
その夜フェリシアはマティアスに手紙をしたためた。
*見苦しい行動をしてしまったこと。
*お見舞いを頂いたこと。
*贈り物を頂いたこと。
*ランチェスター公爵邸にいた理由
一つ一つに丁寧にお詫びとお礼を述べ、会わなかった間どのように過ごしていたのかを書いた。
彼女にまとわりついていた見えない鎧は昼間涙と一緒に剥がれたようで、
筆無精だったフェリシアだが嘘のように一気に手紙を書き上げ、いつものお気に入りの場所で夜空を眺めていた。
綺麗な月だわ。今日は満月なのね。
殿下も見ていることを願って。。殿下、お休みなさい。
翌朝一番でラッセルに手紙をお願いすると、そのまま庭を散歩した。
いつもなら自室に閉じこもったままなのに、私ったらどうしちゃったのかしら外に出たりして。
自分でも不思議だった。
でも何となくわかるわ。殿下にお会いして安心したからよね。
自室に戻ると今日の予定を確認するためにアンナが入って来た。
「お嬢様、今日のご予定は何かございますか?」
「アンナ、昨日はご苦労様ね。今日はね何だか身体が軽いのよ。」
「ええ、お嬢様昨日の夜からお顔がとてもスッキリしていますよ。」
「ふふ、そんな訳で今日は市井に行きたい気分なの。」
「はい、承知いたしました。可愛いお店でも見ましょうかね。」
2人が楽しそうに外出の準備をしていると、ラッセルが現れた。
「ラ、ラッセル。。。」
フェリシアは驚いた後急に怯え始めた。
「お嬢様、ラッセルでございますよ。そんなに怖がらなくても。」
「だ、だってえ。ラッセルが来ると大変なことが起こるから。。。」
「お嬢様、何をおっしゃるんですか。でもまぁ今日もそうかも知れませんね。」
「えぇー、今日は、な、何なの?」
「お茶会のご招待でございます。」
フェリシアは一歩また一歩と後退りしながら聞いた。
「ど、どなたから?」
ラッセルは満面な微笑みで答えた。
「はい。殿下からでございます。」
「殿下ってマティアス殿下?」
「もちろんでございます。」
フェリシアはふらついて倒れそうになった。
お茶会って、まさか朝出した手紙を読んだから招待状を送ってきたのよね?
早すぎません?
「お嬢様、市井行きは取り止めです。すぐ湯浴みの用意をしてお肌を磨きましょう。」
アンナは張り切り出した。
その顔はどこか嬉しそうで「ついにこの日が来たか、頑張るぞー」と言っているようだった。
「では、出席と返事しておきますね。」
ラッセルはフェリシアとアンナのやり取りを見てそう答えると満足したように部屋から出て行った。
「お嬢様ご安心ください。最高に愛らしいお嬢様に仕立てあげますわ。」
「アンナ大袈裟よ。夜会じゃないんだから。」
「いいえ、お会いしていなかった間により美しくなったお嬢様を見ていただきましょう。」
「もう昨日お会いしたわよ。しかも最悪の泣き顔をお見せしちゃったし。アンナも見てたでしょ!」
「だからこそです!今度は美しく着飾ったお姿を見ていただきましょう。」
ハァ、街に行ってお店巡りしたかったわ。。。
「ルナ」のケーキも食べたかったのにぃ。。。
こうしてお茶会までの二日間、アンナ他二人によるお肌と髪の集中お手入れが行われた。
「お嬢様、美しさに磨きがかかりましたわ。」
手伝ってくれた二人の使用人もウンウンとうなづいている。
確かに肌のキメは整い、髪もツヤがでて美しくなった。
でもなんだか自分じゃないようで急に恥ずかしくなった。
そして、お茶会当日、王宮から迎えの馬車が来た。
なんと現れたのはルーファスだった。
「フェリシア様、お久しぶりでごさいます。お迎えにあがりました。」




