支出額規制主義
何時の時代でも貧富の差による妬みというのは存在する
そして富むものから資産を剥奪して、共有財産とする○○主義がある一方で、自力でのし上がるか、出来ない者はただ我慢して半ばあきらめの境地に至って生活する△△主義もある
ある政府がこの貧富の差を解消するために新たに考え出された支出額規制主義を法案化して実施しようとした
それは年収に関係なく一人が使ってもいい一日の支出限度額を法律で厳密に規定しようというものだった
貧しいものでも用意ができる金額は?で論議が起こったものの、限度額まで支出できない層には政府が差額の2分の1までを援助するということを条件に一人につき一日500円という額で法案は成立した。(解りやすいように通過を円換算している)
例えば米が5キロ単位の販売であり、価格は相場の安い日はだいたい2,000円であった
国民はどうやって米を手に入れるか?
4人家族の家庭は相場の安い日はなんとか米だけは購入することはできる
しかしそれ以下の小家族では?
各家庭が集まって4人以上となり一人500円を上限として支出し、販売単位を共同購入し、後で支払額に応じて分けた
ただ、勘違いしないでほしい、収入面での上限は規制されていないのである
しかし、どれだけの高額所得者でも一日の支出限度額は500円と定められている
当然、国外では適用は無いが、渡航運賃がどうしても支出限度額を超えてしまうので、渡航券を購入することができず、国外に行くことは現実的に不可能なのである
国内の移動も交通費は一日に500円を越えることが多く交通機関は実質移動手段の役目を果たせなくなった
後に、この国の交通機関は公営の市内循環バス以外はなくなった
さらに、実施後はカーシェア、ルームシェアは当たり前となり、外食もほぼ夢のまた夢となった
カーシェアで遠出をするにも5人乗りの車では燃料代は2,500円が上限となるので、かなりの遠方は実質無理だった
そして燃料代だけで今日の支出限度額に達してしまうので、遠出した先では何も買うことはできなかった
結果、この国の観光地は衰退してなくなった
ルームシェアは家賃をシェアしている人数で頭割りするのだが、10人でシェアしているとした場合に家賃相場から最低でも10日分の5,000円は各自負担しないといけないし、公共料金もあるので、食事代は実質数日分の支出限度額で1ヶ月分をまかなわないといけない生活となった
生活苦から国民は電気・ガスを使用しなくなった
後に、電力会社、ガス会社が倒産した
水道は公営なのでなんとか保持している
外食産業は提供するメニューの原価がすでに500円を越えていたものがほとんどだったので、どう対応することもできなかった
後に、この国から外食産業はなくなった
さらに携帯電話や結婚指輪、葬儀の祭壇や墓地さえも共同の持ち物となった
ただ、国民は史上空前の貯蓄額を積み上げることができた
ここで政府は国民全員には平等に課税をとの立場から、50%の国民資産税を導入した
これにより国民が所有する資産から50%の税金を課税徴収されて全員の資産は半減した
貧富の差による妬みは、政府への妬みとなった
ただ、一日の支出限度額は500円であるために国民生活には影響を及ぼすことはなかった
支出額規制主義が実施されている限りこれは続くこととなる
支出額規制主義でも国民が全員もれなく幸せになることはなかなか難しいようだ
いろいろな主義はあるがどの主義も100点満点を取るのは無理だろう
何故なら人間は神ではないからだ




