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突然だが俺にだって友達はいる。中学の時に話す友達がいた。そしてその友好関係は、俺は人間というものがあまり好きではないから唯一と言っても過言ではないのだが、深く、今でも続いている。そいつの名が碓氷洋平。無造作に生えそろった白髪に、病弱そうな線の細い身体、弱弱しい微笑みを携えた人物だ。そいつが先日、こんな悩みを打ち明けた。それは一本の電話内で起きた。
よお碓氷。どうだ、そっちの様子は。
俺はAPKS団に入ったことの報告も兼ねて、碓氷洋平に電話をかけていた。
「うーん、なかなかだよ」
なかなかか。お互い苦労しているんだな。
「域谷君も何か苦労しているの?」
ああ、実はな……
俺はAPKS団に入ったことと、その事情を詳らかに話した。最初は碓氷もAPKS団という聞きなれない言葉に疑念を抱いていたが、その活動目的を話すと感心してくれた。
「なるほど!すごく画期的で素晴らしい団だと思うよ!」
そうか。ありがとう。
「で、依頼の方はどれくらい来ているんだい?」
そりゃあもう、毎日が閑古鳥の世話で忙しないくらいには。
「あはは、ということは全然来てないんだね」
まあそうともいう。
「……そうだ、じゃあ……うーん、どうしようかな」
何がだ。
「いや、もしかしたら僕が依頼できるかもしれないから」
本当か!すぐに頼む!
「いやぁ、でもなぁ、域谷君、面倒ごとは嫌いでしょ?特に二つ名の関わることは」
ま、まあだが!俺は暇が一番いやだ。この前なんて暇すぎて近くのラーメン屋番付を作ったんだぞ?そんなの、俺は嫌だ。
「う、うーん。じゃあ、相談するだけしてみようかな?」
そういって彼が相談したのは以下のことだった。
彼の高校にはファイアラーがいる。こいつらは二つ名だ。碓氷が言うにはこいつらは高慢らしく、自分が二つ名であることを誇示して、そこの生徒たちをこき使っているらしい。どういうものかと言うと、パンを買いに行かせたり、先生を脅していい成績を取ったり。能力を背景とした裏口入学までもがささやかれているらしい。ちなみに碓氷もそのこき使われている生徒の内の一人だ。そんなファイアラーの能力は、その名の通り、発火能力だ。それも極度の。いつしかそいつに従っておけば何も起きないというパラダイムが生まれ、男子は雑用を受け入れ、女子はハーレムを形成しているらしい。
「いやぁ、これじゃあ僕の青春が真っ黒につぶれちゃうじゃないか。だから、域谷君。よろしく頼むよ」
うーん、まあそうだなぁ。ただ、お前の妹さんは大丈夫なのか?
碓氷洋平には碓氷咲という血のつながった妹がいる。
「ん?まあね。そこまでは気づかれていないみたい」
ならよかった。




