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File 2: Search for Matsumoto’s cat
「なーん」
プロフィットが阿呆みたいな声を出す。しかも路地裏で。住宅街で。というのも、今回の仕事というのが松本さんの猫を探すというものだからだ。ちなみに先ほどの「なーん」とはプロフィットの、できる限りの、猫の物まねらしい。
(にゃーん)
すると、猫の声が聞こえた。見るとそこには松本さんの猫と特徴のよく似た猫がいた。
「いた!」
プロフィットが大声を出す。すると、その猫は驚いて逃げてしまった。
何やってんだ。
「し、仕方ないじゃない。嬉しかったんだもの」
……はぁ。追うぞ。
「待って」
なんだ。まだ何かいいわけか。
「ううん、そうじゃない。そうねぇ、あなたは右から行きなさい、私は左から行くから」
へいへい。
なぜこいつに支持されなくちゃならないかはわからないが、仕方なく俺は左から走っていく。当てもなく走る。すると、その猫の姿はすぐに現れた。俺はそれを追いかける。しかし猫ってのは早いもんで、俺がたとえ全速力で駆けたとしても同じくらいのスピードだ。猫が右に曲がる。俺も遠心力を感じながら右に曲がる。猫が左に曲がる。俺は靴をすり減らしながらなんとか曲がる。しまいには息を切らしながら、何とか猫についていく。猫の背中はまだ遠い。そして、もう駄目だと思いスピードを緩める。猫はなおもかけていく。やれやれ、あいつらには疲れってもんがないんですかね。また振り出しかと思ったその直後、右から卒爾に飛び出してきた人影があった。猫が驚いて立ち止まったかと思うと、その人影は猫を抱き上げた。見るとそいつは白髪のツインテールで、そう、プロフィットであった。
はぁ、はぁ、なんでここにいたのかは、ともかく、助かった。
「よくやったわ」
「いやぁ、本当に助かったよ」
松本さんが朗らかに笑う。
「何せ僕は独り身なもんでね、このトラ君のみが心の支えなんだ」
松本さんが猫に目を向けると、猫は甘ったるい声で「なーん」となく。松本さんは猫の頭をわしゃわしゃとなでる。猫はうれしそうに目を細めた。
「では私たちはこれで」
そう言ったプロフィットは俺を連れて帰ろうとする。まことに遺憾で本来であれば俺が、プロフィットを連れ帰るべきなのだが。まあそんなことはどうでもいい。ただ、今回で俺も学べたことがある。ここは非能力者専用の区域なのだが、要はそこに許可を得て立ち入ったわけだが、非能力者にもそれぞれの暮らしってのがあって、それぞれの幸せってのがあるんだと、能力者と非能力者の違いなど、本当に力があるかないかなのだと知れた。つまり、松本さん。俺たちってのはおんなじ人間なんだな。俺はそこをどうやら勘違いしていたようだ。




