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カリッとした外身を咀嚼し、中からあふれ出る肉汁に頬をほころばせる。右手に持ったおにぎりにかぶりつくと、しっかりとした塩味に粒だったご飯を感じられ、破顔一笑と言う感じでのびやかに昼食を食べていると、ついには全て無くなってしまった。有北は紅鮭のおにぎりをもしゃもしゃと食べている。
お前、なかなか料理が上手なんだな。
「なかなかって何よ。褒めるんならちゃんと素直に言いなさいよね」
お、おう、……旨かったよ。熱中しちまうくらい。
「……ふん、当然よ」
そういうと有北はまた紅鮭に戻る。俺は手持無沙汰になり、有北に話しかけるでもなくこんな独り言を言った。
そういえばタッチャーに何やら変なことが起こったらしいな。俺たちに危害がなければいいが。
「……ああ、あの事ね」
あのことってことは……お前はもう知っているのか?
「ええ、だって私はあれっきりであいつを仲間に入れるのをあきらめたわけじゃないもの」
ほんと、執着の強い奴だな。で、どんなだ。
「どんなって何が」
ほら、タッチャーに起こった変化がだよ。
「……そうね、今ここで話せるようなものではないわ。あとでクリエイターから聞きなさい。まあただ一言言うのだとしたら……仲間ってものはいいものね」
ほ、ほお、お前がそれを言うか。そりゃあ、お前はそんなにも烈しい性格なんだから、お前の仲間になっちまった奴はかわいそうだな。
「なによ、自己憐憫?」
或いはそうとも言う。
「へぇ、そんなことならこの食事には下痢剤か何かを仕込んでおけばよかったわ」
それは勘弁。――ってお前、もしかして俺に食べさせるためにこんなに作ったのか。
「……違うわよ。偶然よ。偶然」
……そうか。もしそうならこんな旨い食事を俺の為に作ってくれたお礼でもしようかと思っていたんだがな。
「その気持ちだけ受け取っておくわ」
おまえ、やっぱり――
「いいえ、偶然よ」
これって実は理論的には無限に書き続けられる話なんですよね。ただ、そこに僕のやる気っていうミスマッチがあるだけで。




