25
太陽が肌をじりじりと焼く。それから逃れようと日陰に入るが、蒸れた熱気が俺を襲い、辟易とさせる。俺は右手にポカリ、この場での唯一の冷たいものなのだが、ああ、残念ながらこれは人様にあげるものであるため頬ずりはできない、を持ってあいつを待つ。女子の団塊が横を通り抜けたかと思うと、後ろから三三五五にまた女子たちが来た。と言うことはそろそろあいつもお出ましだろう。そう思って目線を挙げると、そこには白髪の主が傲然と立っていた。
ほらよ。
俺は有北にポカリを投げ渡す。そこに何か裏を感じたのか有北は怪訝そうな顔をする。おいおい、人がありがたいことをしたら疑うんじゃなくてまずは感謝でしょうが。さすがにトリコみたいな仰々しい感謝は求めちゃいないが、それでも夕飯にいただきますという、あの時の命への感謝くらいはあってもいいじゃないか。
「ありがとう」
彼女は眉間にしわを寄せながらもそう言った。
おつかれ。さすがの結果だったな。
「そりゃあね。運動は得意だもの」
有北はポカリのふたを開けると、一口口に含んだ。会話が途切れ、何とも形容しがたい手持無沙汰を感じた俺もポカリを一口飲む。すると、しっかりとした塩味の後の余韻の中に甘みが現れ出た。
「じゃあそろそろ体育館に移動しましょうか」
有北はそう言った。
ああそうか。そろそろ昼食の時間だな。
「そうよ」
有北はかさばったバックを右手に持つと、移動し始めた。重心は右に傾いており、重そうである。
刹那、俺は有北の荷物をかっさらった。
「――っちょ!」
ああ何心配するな。気狂いを起こしてひったくりしたわけじゃない。ただ、重そうだから持ってやっているだけだ。
「……そうならそうだといいなさいよね。もしそれがなかったら鳩尾に一発決めてたわ」
おーそりゃあ怖い怖い。……だがな、お前は意固地な奴だから俺が提案しても受けなかっただろう。そんならこれしかないってわけさ。
「……はぁ、あんたは鈍感なんだか気が利くんだか」
ん?なんか言ったか?
「何でもないわ。荷物もってくれてありがとう。行きましょう」
俺たちは人々の動きに流されるかのように、体育館に向かった。
十万文字行けば何か変わるはず……!




