25
体育祭の実行委員たちが線の引かれたトラックにどんどんと奇怪な器具を置いていく。細長い棒、地にひかれた網、その他あまり見かけないもの。もしこれを常時見かける奴がいたらこう言ってやりたい。あんたの人生は、文字通り障害だらけだろう、と。
『さあ始まりました!障害物競走!まずはこの競技の説明を――』
そう言ったアナウンスが流れると、脇に控えていた群衆が蠢動し、ぞろぞろと一か所に集まり始める。そこには、最近の流行のハーレム系主人公も鼻白む女子の大群があった。しかし、残念なことに、ああ、日々ハーレムを欲してやまないあんたらには誠に残念だろうが、そこには男子は居ない。なぜか。それはこれが女子の競技だからと言うことに起因する。女子の競技に男子が紛れ込む余地などないだろう。事実、モテない男、ゆえに持たない男たちは目を血走らせて歯を食いしばり、その光景を只管打坐に眺めるにとどまっている。どこぞの脚本家が言ったように「在るべきか、在らぬべきかが問題だ」と、きっと彼らは自らの存在意義の消失に喘いでいるに違いない。そんな鼻息荒い奴らの気配を背中にひしひしと感じながら俺はなおも前を向くと、そこに白髪を見つけた。そいつはいつもとは違い後ろで髪を束ねている。俺は彼女をぼんやりとみる。まるで俺の視線が彼女に吸い込まれるように。白髪は燦燦と照る太陽をきらびやかに反射する。彼女の西洋の彫刻然とした顔は太陽にも負けず輝く。
ふと、彼女は俺の方を向く。そして俺の視線に気づく。彼女の顔は勝ち誇ったかのような笑みを浮かべ、ほかの友達の方へ向けられた。
女子たちは各々列につく。整然と並んだその群塊の戦闘は、パンと乾いたピストルの音が上がると走り出した。その女子たちは四苦八苦しながら障害物を抜けていく。そして最後は尽力して走り出すと、ゴールテープを一身に受ける。一位となった人は肩で息をしながら一位の列に行く。そして地べたにへたり込むと、体を仰向けにして空を見上げた。そんな光景を幾度も眺めていると、ついに有北の番が来た。スタートを促す係の人が引き金を引く。刹那、有北は駆けだした。足をのびのびと広げながら腕を振る。彼女が走った跡には砂塵が巻き上げられる。網を匍匐前進で抜けると、あれほどにまで長い棒を3歩で渡り切り、地面に伏せられたカードを勢いそのままに拾い読むと、麻の袋の方に向かい、それを下に履くと、ジャンプで進んだ。未だほかの女子は網にいる。俺がほかの女子に気を取られている間に有北は既にゴールしていた。一位の列に凛とした姿で体育座りをしている。やれやれ、これだったら紅組は安泰ですね。俺は一人そう呟くと、あいつのためにポカリを買いに行った。
父親からハイテクマウスをもらいました。コードがなくってぬるぬるなんじゃあ。




