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最強の能力者に平穏など訪れない  作者: 世界一の能力者のゴーストライター
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蒸されるような暑さの中、列は前へと続く。そしてそれを辿ると俺の眼は一つの台に行き着いた。そこには禿げ頭の一人の中年がいた。台の横にひっそりと佇むちっぽけなスピーカーからは禿げ頭、まあこの高校の校長なのだが、その人の、それは大層ありがたい、こんなヒューミッドな中で肉まんのように蒸されながらでも聞く価値があるような、ああ、まるでソフィストのプロタゴラスのような大演説が為されているのだろうが、生憎、こちらはそのスピーカーから、よく階段の踊り場でたむろしている生徒たちの声が階下からそれとなく聞こえるような微弱な音質しか聞こえないので、ため息を一つ吐くと、暇つぶしに有北に話しかけた。

なあ、あのはげちょびん、何を言ってやがる。

「知らないわ。興味がないもの」

それはおきつい言葉だ。あの校長だってハンカチで汗をぬぐいながら何かを宣ってくれているんだ。もう少し共感ってもんをしといたほうがいい。

「あんただって聞いてないじゃないの」

聞いてない?いいや違うな。俺の場合はあくまでも聞こえないだ。俺を仮にでもあの最前列に並べてみろ。頭をメトロノームのように振ってはメモに走り書きをするだろう。

「その頭の動きが眠気からじゃなければよいのだけれど」

……で、こちらが本題なのだが、お前、あの大荷物は何だ。

俺が目を向ける先には一人だけ異様にこんもりとした有北の赤いリュックサックがあった。

「あ、そうそう」

有北は思い出したかのようにこう言った。

「私、弁当を作りすぎちゃったのよね。だから、あんたも食べて頂戴」

それとこんもりしているのと何が関係して――お前まさか!あれ全部が弁当だとは言わないだろうな!

「ん?あなたにしては鋭いわね。そうよ」

……おいおい、お前は象でも飼っているのか。幾らなんでもあれは作りすぎの領域を――

「作りすぎちゃったのよ」

だからそれはいくら何でも――

「作りすぎちゃったのよ」

……お前、まさかそれしか言わないつもりだな?

「食べてくれるかしら?」

……はぁ、まあいい。俺もこう見えてラーメン次郎には足を運んだことがあるんだ。もちろん完敗だったが。だが、あれで大食いの容量ってものをつかんだ。次は完食して見せよう。

「そういえばあんた、前に団の隙間時間を縫ってラーメン番付をつけていたわよね。私にも紹介してほしいわ」

……こってり系が多いが?

「構わないわ」

……そうか。ならいつか行こう。――っと、それは置いておいて、弁当には何が入っているんだ。

「唐揚げに卵焼きに、ひじきの煮つけ、鳥そぼろ、きゅうりの漬物、おにぎりが5個、具材はそれぞれおかか、のりたま、べにしゃけ、梅、塩、サンドイッチがチキン南蛮、卵、ツナマヨ、最後に野菜のチョップスティックを作ったわ」

おい、それはもう誰かと食べることを想定しているじゃないか。まさかお前、誰かと食べようと――

「いいえ、作りすぎたのよ」

……はぁ、どこまでも意固地な奴だ。まあいい。俺も食費が節約でき――っと、そろそろ校長のありがたいお言葉が終わるか。

校長の演説が終わると、俺たちはスピーカーから流れるピアノの音に従って礼をし、ぞろぞろと各々のペースで持ち場に戻った。


次回、作者、PayPay銀行開設!?

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