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目が覚めるとロープで椅子に縛り付けられていた。頭があやふやで何が起こったのかあまりよく覚えていない。ああ、たぶんあれだろう。どこかで何かの手違いで酒を飲んでしまった俺が、男子高校生らしい有り余る性欲で誰かの尻にかぶりついてしまったのだろう。もしそれが美女のものだったなら感触くらい覚えておきたかった。え?男のものだったらって?いったい誰が覚えておきたいと思うんですかね。もしそうなら今から警察官による尋問が行われるに違いない。そして、この厳重な縄から察するに……たぶんその尋問官が相当美人に違いない。なぜかって?そうじゃないとこの厳重な警備、おしりにかじりついただけの男に対するこの有り余るほどの備えの説明ができないじゃないか。ウキウキしながら相手を待っていると、登場したのは白髪のツインテールの少女だった。
「お目覚めね」
刹那、あの苦渋の戦いを思い出す。
やあプロフィット。
俺は縄を解こうとする。……が、解けない。
「無駄よ。それはクリエイターがあなた専用に何時間もかけて作った代物だもの」
力を強めてみるが、ほどけそうにはなかった。諦めて俺はプロフィットに向き直る。
で、俺をこれに縛り付けて何の用だ?
「簡単よ」
簡単、と言うと――
「勧誘よ」
拷問か。
ん?
「ん?」
「勧誘よ」
拷問か。
ん?
「ん?」
今なんて言った。
「勧誘よ」
……いろいろ突っ込みどころはあるが、何の?
「APKS団のよ」
APKS団?
「対能力者用治安維持機関よ」
活動内容は?
「非能力者でも生きやすい世界を作りたいの!」
現在の世界では能力者が支配的であり、非能力者は、確かに法の下の平等はあるものの、搾取され続けている。
それは確かに立派だ。で、今の活動内容は?
「……のにも……」
ん?聞こえない。
「ぉ、おばあちゃんの荷物持ちよ!」
……それは、大層w、立派www、アッハッハッハ!
「な、何よ!悪い!?」
いw、いやw、別に。ただ超能力者用と銘打っておきながら荷物持ちなんて……アッハッハ!
「むーっ」
そんなに拗ねんなよ。な?それだって社会貢献、なのw、かもw、しれないし、ププッ!
それで、本題は何だ。
俺は改めて聞き直す。
「さっきも言ったじゃない。だから、勧誘よ」
それだったらお前もうすうす気づいているだろう。そんなものに俺が入る?そんなわけないだろう。
「……そうねぇ、だったら、一週間でいいわ。一週間だけ私たちと共に行動を共にして頂戴。もしそれで何も感じなかったら、そう、あなたには金輪際近づかないわ」
一週間ねぇ。長いな。まあいいだろう。お前たちは、たとえペアであったとしても初めて俺を負かした奴らだ。言いなりになってやるよ。
「……そう」