14
鏡を見ると俺がいた。髪を無造作に撫で付けている。これは確か俺がまだ二つ名殺しをしていたころの俺だ。俺は徐に安い宿を出る。ここの家主、住人はつい先日皆殺しにしたばかりで、あたりには血のにおいが充満している。俺は新たな標的を探すかのように街を歩き始めた。右手には機関から盗んだ二つ名の顔写真と詳細を持って。青々と照る空は燦燦と輝く太陽を隔絶し、ただ独立に存在し続ける。空を飛ぶ鳥は太陽に頭を焼く。刹那、俺の眼の端が二人の姿を捕らえた。一人は小さな小娘で、一人は白髪のいけ好かない野郎である。それはただ単に思いつきだった。蟻をつぶすかのように終わるはずだった。しかし、そうはいかなかった。俺は男の方から殺そうと、急接近すると、能力を行使した。
ガキン!
何か固いもの同士がぶつかったような音がした。俺は振り下ろした右手を見る。すると、その先には氷の壁があった。
俺は後ろに飛び下がる。
刹那、俺の元居た場所を逆さつららがさす。
氷が解けるとそこにいたのは、先ほどのいけ好かない男だった。
「何かな?」
その男の眼の奥が光った気がした。
俺は俄然、黒い球を打ち出す。
男が氷の壁でそれを防ぐと、大爆発を起こす。氷の破片が後ろにいた女の頬をかすめた。
「……君、僕の妹に手を出したな!」
そういって彼が右手を俺の方へ突き出すと、一瞬にして彼の後ろに行くマンに及ぶ氷の矢が出現し、俺の方へ猛スピードで飛んできた。
ちっ、面倒くさい相手に当たっちまった。
俺は地面を踏む。するとその場から黒い波紋が出たかと思うと、即座に広がり、氷の矢を粉々にした。
「へぇ、意外とやるんだね」
そりゃあな!
今度は俺の番と言わんばかりに黒い球を後ろに無数に出現させると、すぐに彼に向かわせた。
彼は、今度は先ほどよりも分厚く高い氷の壁を作る。
耳をつんざくような轟音が何秒間かにわたって流れる。
爆発が終わり、目の前が晴れると、そこには堅牢な氷の壁があった。
「そんなものかい?」
彼は不敵にほほ笑む。
へぇ、まだ余裕ですかい、それはいいこった!
刹那、俺は地面を踏み、彼は右手を突き出す。すると、それぞれの地面が黒井は同、氷によって埋め尽くされ、それが衝突すると、ギギギーというものすごく力の強いもの同士がせめぎ合う音が生まれ、プラズマも生まれる。このまま二人とも消耗戦にもつれ込むかと思った矢先、突如、ドンという地響きが鳴ったかと思うと、その対立は霧散した。
なんだ?黄金の扉か?
「やあ諸君。何やら楽しそうなことをしているね。僕も仲間に入れてくれはしないかい」
そこにいたのは緑の髪をきれいに撫で付けた、黒縁眼鏡の少年だった。
誰だお前。
「ん?僕?僕は……そうだな、レンジャー君、その手元の資料をめくってくれよ」
言われたとおりにめくると、そこには今目の前にいる少年の顔写真とともにクリエイターと書かれた詳細書だった。
てめぇが二つ名の二番目、クリエイターか!これはどうも!
俺は黒い球を打ち出す。
「おっと危ない」
そういうと少年はそれを避けて飛び上がる。
俺はそれを追撃する。
なおも少年は避け続ける。
ちっ、ちょこまかと……
「おっとレンジャー君。そろそろ限界も近いかな?だったら最後にこれだけは言わせてくれ。僕は、いや、機関も含んだ僕たちは君に危害を加えるつもりはない。ただ、ああ、最初の二つ名殺しは仕方ないとしても、そのほかの無害な二つ名を殺すことはやめてくれないかい?彼らだって人間なんだ」
へっ!それで俺が辞めるとでも?
「もしやめなかったら、そうだな、君は間違いなくそのほかの二つ名の標的になり、結束されて死ぬ。それも僕らとしては実に心苦しいんだよ。だから、やめてくれないかい?域谷君。域谷圭吾君」
ちっ、どこでその名前を……
俺の意識は途絶えた。




