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「こんにちは」
碓氷洋平が扉から顔を出す。その顔には人畜無害な微笑みが張り付いていた。
「こんにちはー!」
後ろから碓氷咲が来たかと思うと、扉が勢いよく開き、コンクリの壁にガシャンとぶつかった。
お、おう。
俺はその音に驚きながらも、何とか二人にあいさつを返す。
「何の話をしていたんですか?」
洋平が俺に聞く。
いや、タッチャーの話をな。
「あー、仲間に入れたいとか?」
まあそんな感じだ。
「無理だと思いますよ」
なんでだ。
「第一タッチャーは変わっている。いや、これじゃ語弊があるかもしれないからもう少し詳しく言うと、彼はずば抜けて頭がいいんです」
と言うと?
「彼のIQは、機関によると180あるらしいです」
ほう。となると奴は一匹狼か。
「ええ、それも極度の」
……だとよ、有北。どうする――
そこにいたのは咲とぽかぽかと殴り合っている有北未来の姿だった。
おい、何をしている。
「あ!域谷!ちょっと聞いてよ!私がこの子になんで睨んでるのか聞いたら『気づいているくせに』ってふてぶてしく答えてきたもんだから諫めたのよ!そしたら叩いてきて――」
「この悪魔に騙されちゃいけません域谷おにいちゃん!こいつが先に肩をつかんできました!」
「それは暴力とは言わないでしょう!」
「いいえ!れっきとした暴力です!」
「へぇ!いい度胸じゃない!やろうっていうの!?」
「むーっ!」
そして二人はまたぽかぽかと殴り合いを始める。俺と洋平は急いで止めに入る。
いったい何をしているんだ。子供じゃあるまいし。
「だって!――」
「あー!なんで私を止めるのは兄さんで、あの糞女を止めるのが域谷おにいちゃんなんですか!」
「糞女って何よ!この小娘が!」
「あー!ひどい!兄さん、今聞きました!?小娘って侮辱してきましたよ!?」
ああもういいから!
俺が声を荒げたことにより、あたりが静かになる。
有北、お前、それは洋平に聞けばよかっただろ?なんで本人に聞いたんだ。
「うっ、だって――」
そして咲、お前もこいつを嫌ってもいいが、態度に出すのは子供っぽいぞ。
「……はい」




