10
集合場所に来た。もうすでに辺りは暗闇だ。洋平たちの姿を探してみると、街灯の下にその姿があった。俺は洋平たちに近づこうとする。
「へぇ、全然自販機なんかじゃなかったじゃない」
そんな有北の呟きを無視して。そんな時、俺たちよりも先に碓氷らに近づいた奴がいた。そいつは赤髪で筋肉質で、要するにファイアラーだった。俺は歩みを止める。なぜなら危険を感じたからだ。有北も止めた。
「ちょっと!助けないと!」
いや、その心配はいらん。むしろ俺たちの身を心配しろ。
「なに言ってんの!あいつは腐っても二つ名なのよ!それを一般人が――」
「よお碓氷」
街灯越しにもわかる下卑た笑みを浮かべながらファイアラーは碓氷に近づく。
「嘘!」
有北はこの後起こる未来を予測しえたのか、一つ感嘆符を発する。
「やあ、我炎君」
「くっくっく、実にむかつく野郎だ。お前、俺が二つ名だってわかっているよな?」
「ああ、もちろん」
「それなのにその態度とは、よっぽど強いか、よっぽど馬鹿かだが、お前は後者だろうな!」
炎が飛ぶ。それを洋平はぎりぎりで避ける。次に連撃が来るが、これもぎりぎりで避ける。
「ちっ、ちょこまかと。だったら、これは避けられないだろうよ!」
先ほどよりも一回り大きな下級が洋平たちに迫る。
「咲、目をつぶっていなさい」
「う、うん!」
刹那、炎が氷漬けにされた。
「危ないよ我炎君。それじゃ、僕の妹まで傷ついちゃう」
「ああ?なんだこりゃ?……クックック、そうか、お前の能力は氷結系か。だが、これを見る限りもうお前の体力は切れ切れだろうなぁ!」
もう一発、ファイアラーが先ほどと同じ火の玉を繰り出す。しかし、洋平はそれもいともたやすく氷漬けにした。
「いつまで持つかな!」
ファイアラーは連続でそれを繰り出す。しかし、それもまた氷漬けになる。
「ちっ、だったら!」
ファイアラーは全身を炎で燃やした。
「いいか?これは体中を超高温に温めることで超高速移動を可能にする業だ。宣言しよう!俺はまずお前の妹を殺す!そして、イラつかせてくれたお礼にお前は妹の後に嬲り殺してやる!」
ファイアラーが超高速で動く。ファイアラーのいたところの地面はえぐれる。
「妹?我炎君、君は妹に手を出すつもりかな?」
「ああそうだとも!」
ファイアラーが超高速のパンチを繰り出そうとしたその時――ファイアラーは一瞬にして氷漬けになった。
「多分君は今こう驚いているに違いない。なんで超高速で超高温の俺が一瞬で氷漬けに。だがね、君は実力差っていうのを知ったほうがいい。君程度で僕の妹に傷をつけるだと?笑わせないでくれ。僕の妹を傷つけられるのは、それこそ域谷君ぐらいだよ」
あ、有北、俺の後ろに隠れてろ
「わかったわ」
洋平は指を鳴らした。すると、ファイアラーの頭上には大きな氷の槍ができた。
「残念だよ我炎君。君の人生がこれで終わりだなんて」
その槍はファイアラーを貫いた。ファイアラーは風に散った。
よお碓氷。
「やあ、域谷君。しかし、二つ名ってのはこんなにも弱いんだね。君が退屈しちゃうのもわかるよ」
ああそうだろ?そして碓氷。二つ名入りおめでとう。
「いやいや、それを証言するのは君くらいだろう?それだったら前と同じように」
俺が妹を傷つけた時と同じように隠蔽するか?無理だな。何せ、ここには防犯カメラがある。
「ん?それがどうしたんだい?」
つまり、能力測定機関が四六時中それを監視しているってことさ。
そこには黒塗りのベンツが来た。そして中から出てきた人物が一言。
「やあ碓氷洋平君。まず、君には二つ名がつけられる。次に個人情報についてだが、君の顔写真は公開するかい?」
「ああ、なるほど。情報化社会ってのは怖いね。あ、公開しないでお願いします」
そのあと、碓氷洋平のいろいろな匙で時間がつぶれ、俺たちは雑談するのみで終わった。そして別れようとしたその時――
「ええと、碓氷君!私たち、APKS団に入らない?」
有北がこう宣った。
「えー、いや、僕はやめとく――痛いよ咲!ああわかったよ!入る入る!」
「えー、お兄ちゃん入っちゃうの~、一人じゃ心配だから私も入ってあげよう!」
「うん!いいわ!二人とも歓迎するわ!」
「よろしくお願いします!域谷おにいちゃん、有北先輩!」
「よ、よろしくね、域谷君、有北さん」
「よろしく!二人とも!」
よろしくな。
「じゃ、そろそろみんな帰ろうか」
そうだな。
俺たちは各々の方向へ帰った。
「ねぇ域谷、なんで私って咲ちゃんに睨まれたんだと思う?」
さあ知らん。俺に聞くな。洋平に聞け。
「そうね、そうするわ」
月は明るく照り、星々は瞬いていた。
なんで定期更新できないかと言うと、僕が大学生と言う、一番大変な時期だからです。単位を落とすことが怖いんです。僕は馬鹿なんで多分、何個か落とすと思います。それをどうにか少なくしたいんです。ご協力お願いします。




