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慣れ親しんだ埃のにおいがする。その中でメルティキッスの個包装をはがして口に運びながら、百均で買ったチープな時計を凝然と見る。空に夕日が燃える。カラスは空高く飛び、アナーキーに泣き喚く。予定表にと買ったホワイトボードには数日前から変わらない、“本日休業”の字がある。いやいや有北さん。それだと語弊がありますよ。今日休業になったのは我々が設定“した”のではなく、仕事がないから仕方なく設定“された”んですから。まあ、そんな暇でしかない時間も今日はうれしくはある。なぜならそのおかげで今日、咲と洋平とラーメン屋に行けるのだから。ああ、ただ有北さん、俺の目の前で机に突っ伏している有北さん、宿題の難しさのあまり寝込んでしまっている有北さん、あんたはついてこないでくれ。どうもあんたがついてくると、事件の香りがする。あんたは、そう、「真実はいつも一つ!」と叫んでいる少年探偵とのタッグがおすすめだ。もしそうしたら向かうところ敵なしだろう。なぜかって?だって近づくだけで死んでくれるのだから。おっと、そろそろ時間だ。俺は音をたてないように徐に動き出す。そして眠れる獅子を起こさないようにのそりのそりと動くと、扉を開け、扉を閉め、一息つく。
ふぅ、起こさずに――刹那、俺の肩に手がかけられる。俺はびくっとする。
恐る恐る後ろを振り返ると――
「どこに行くの?」
目をキラキラと輝かせた有北さんがいらっしゃった。
い、いやぁ、ちょっとそこら辺の自販機まで飲み物を買いに行こうかなぁって。
「だったらなんで自転車にまたがっているの?」
ほ、欲しい飲み物が遠くにしかなくって。
「近くにはコンビニもあるのに?」
……
有北の怪訝そうな顔がより深くなる。
あたりは沈黙が支配する。
「まあいいわ」
有北はそう言って手を離した。
助かった。率直にそう思った俺だったが、それはすぐに打ち砕かれる。なんと、有北が俺の自転車の後ろの荷物置きに乗っているのだ。
あ、あのぉ、有北さん?いったい何を?
「私もついていくわ」
え、なぜ?
「ついていくわ」
だめだこいつ、それしか言わねぇつもりだ。ああ、すまんな洋平、咲。そちらに今から名探偵有北を送り込む。
そろそろあとがき書いてもいいんじゃねぇかって思って書いてみました。面白かったら評価お願いします。ここまでで面白かったら評価お願いします。多分、皆さんは定期更新の方が好きそうなので、それがこの作品にはないので、面白いと思っていただけたら評価してくださるとうれしいです。




