第2話 〜大樹の傍で昼寝から起きた少年、家路につく〜
初めて小説を書きます。
右も左もわかりませんが、楽しんでもらえたら嬉しいです。
それと、文章力、国語力、語彙力無いので間違えてがあれば指摘してください。
よろしくお願いします。
◇大樹の森 【シオン・アイレスト】
『ふぁー、よく寝たぁ〜』
両手を上げて伸びをする。大きなあくびをしながら首を上下左右に動かし、自分の言った言葉に疑念を持つ。
『ん? 違うか。夢の中で戦ってるんだから寝てたわけじゃないか……意識はハッキリあるし。でもでも、夢の中だから寝てるっては正しいよな……うーん、どうなんだ? 夢の中でとは言え活動してるから寝てるって言っていいのか?』
ブツブツと、独り言を言いながら屈伸をして体を動かす。
それから老人に打ち込まれたこめかみを摩りつつ、あの一瞬――やられた瞬間の動きを思い出した。
『はぁ……最後の攻撃はどうにもならなかったなぁ。あの瞬間的な移動は"言霊"だとして、弾いた剣を逆の手で掴んで、そのままぶつけて来るとか、普通できるかぁ!?それも剣で受け止めてた瞬間からコンマ数秒でこめかみに衝撃きたし。あれ受け止めたらダメなやつじゃん。次から左右からの切り払いは頭引っ込めるしかねーじゃん! じじいの癖に若者を労れよ……』
俺は長い独り言を呟き続ける。
『けど、あの瞬間は俺は無防備だった訳だし、追い討ちの大技出されてたら避けれねーよなぁ。大技は隙を作ってからかぁ……くそぉ、戦いながら考えるのって苦手なんだよなぁ……はぁ』
ため息混じりに次に戦う想定しながら俺は歩き出す。
一歩二歩進んだ所で足を止めた。
そして、樹々が草の様に生茂る森の中で、一際大きく、そして何やら不思議な気配を漂わせる大樹へと手を挙げ、
『また明日な、くそじじぃー!』
◇ オリワの街道 【シオン・アイレスト】
森を抜け開けた視線の先、まだ微かにしか見えないが、俺が暮らしている街――〈オリワの街〉がある。
〈大樹の森〉からだと歩いて一時間程だ。
それ程大きい町では無いが稲作が盛んで、この国で五本の指に入る美味しい麦が取れる為、名前は広く知られている。
歩きながら考える。
(初めは、家と大樹の往復が結構辛かったけど今じゃそうでもないんだよなぁ。修行の反省や考え事してるとあっという間に着いちまうから・・・慣れとは恐ろしいわ)
そんな事を考えていると町が見えてきた。
『お!今日の飯は何かなぁ?』
町は外部からの侵入を防ぐ様に四メートル位の壁で周りを囲まれている。入り口の門には、門番と言えない雰囲気の男が一人立っている。
『お! ただいま、ゲイル。今日も警備おつかれさん。何が変わった事はあった?』
俺は軽く手を上げ声を掛けると、気さくな笑顔でゲイルが返事をした。
『おかえり、シオン。んー変わった事かぁ・・・さっき王国の騎士達が何人か来て町長の所に行ったなぁ。後は、特に変わらずだな。いつも通りの顔したシオンが帰ってきた事くらいか。今日も負けたのか?』
(いつも通り?ほっとけ!)
ニヤニヤと笑いながら大樹での出来事を聞いてくる。ゲイルはあの場所と修行を知っている唯一の人物である。
『あぁ、今日も負け負け、ってか勝った事ないし。修行の最後はいつも実践形式で手は抜いてくれるんだけど、勝ちだけは絶対譲ってくれねーんだよなぁ』
『なるほど、なるほど、獅子は我が子を千尋の谷に落とすって言うしな。シオンは愛されてるねぇ〜。俺も、一度でいいからその爺さんに会ってみたいなぁ……寝ても何にも起きないけど』
『はは、日頃の行いが悪いんだろ』
大樹での修行は俺にしか出来ない。ゲイルに大樹の話をしてから何度も一緒に行って試したが何も起きなかった。
『ほんと不思議だよな』
夢の中? 大樹の中? 何故あんな現象が起きるのか自分にもよくわからない。ただ昔、小さい頃、両親に連れられて行った時に大樹で大怪我をした。その日を境に森が淡く光を放つ様に見えて、声が聞こえる様になり、じじいに会える様になった。その時の傷はまだ額に残っている。
眉間をかきながら、傷痕を軽く触った。
そしてこの事はゲイルには言ってない。流石に大怪我したら会えるかもなんて、言えるはずもない。会える確証も無いし。今のままでもゲイルは強いから問題はない。
『じゃ、俺はもう行くよ。門番頑張れよー!』
『おう! 今度は俺とも勝負しよーな!』
『えー、めんどい』
冗談まじりに勝負を拒否して、ゲイルと別れた。
門から少し歩いたところに俺の家がある。ニ階建てで地下に倉庫があり、親父の工場が庭にある。一般的に見れば、小金持ちなのかもしれない。
『母さん、ただいまー』
『汐音、おかえり』
シオンは汐音とも書きます。ミコの国では漢字があるので漢字でも戸籍登録されています。
漢字に関してとストーリーにそのうち出てきます。(多分)