男子だからって虫触れるとは限らない
夏だな…
「夏だな」
蝉の声がする……
「するな」
蚊が増えてきたな……
「夏だからな」
虫がいっぱいだな……
「夏だからな」
……俺、夏、大っ嫌い
「……虫嫌いなん?」
あれはこの世に居ていいものではない
「そんなにか」
耳元でする羽音とか、気づかないうちに靴から這い上がってくる蟻とか、風に乗って飛んでくる蜘蛛の巣とか、もうマジで無理
「それ小さい虫のことばっかだな。比較的でかい虫は大丈夫なんじゃねぇの?カナブンとか、蝉とか」
お前、大は小を兼ねるって言葉を知らねぇのか?
大きくっても虫は虫なんだよ
「ん?それ言葉の使い方あってるか?」
あのうじゃうじゃしてる脚とか、追い払おうとすると急に顔に向かって飛んでくることとか……この世の害悪だろ
無断で部屋に入って来るし……せめて俺の許可をとれっての
「虫に許可をもとめてどうする……」
「パッとつかんで外に逃がしてやればいいだけじゃん。男なんだからそれくらい……」
はいきた、そーやって言う人
男なんだからぁ虫くらい触れるだろって決めつける人ぉ、良くないと思いまぁす
「……なんだそのうざいしゃべり方」
男にだって触れない、触りたくないものはある
偏見良くない。真の男女平等を掲げるべきだ
そして虫嫌いな男子にも救いの手を……
「……結局、お前は何が言いたいんだ?」
昨日から俺の部屋に虫がいて寝れない。助けて……
「…………マジか」