依姫と付き人
継音達は二階層でも同じようにしてひと時を過ごしていた。そして最上階層に着いた時、月はすぐそばだった。
「………様……姫様……依姫様!!!」
「んぅ…なんでしょう…?」
「数年前にこちらに来た者達がまたこちらに来ています!」
依姫は溜息をつき、立ち上がった。外から走る足音を聞きながら支度を整えているとひとりの付き人が戸を叩いた。
「依姫様、侵入者の相手は私にお任せ下さい。」
「…黎奈。貴方が相手するのは危険です。相手は穢れを上手く使う者もいます。そんな者と貴女が戦えば貴女は下手したら…」
依姫が眉間にしわを寄せて言えばその言葉を黎奈という付き人が遮った。
「依姫様、私は依姫様のために生涯を尽くすと決めたのです。依姫様を守ってこの地を追われるならそれは至高にございます。それに私はこの地を離れれば死にます。依姫様の為に死ねるなら本望で御座います。」
「私が許しません。貴女は私の妹の様な者なのですよ?誰が喜んで自分が楽して妹に苦渋を味わせるのですか。もし、そんな外道がいたとしても私は絶対に貴女を彼女らの元には行かせません。姉上様もいいですね?」
「えぇ。私も許さないわ。黎奈はここにいなさい。私達の為に死ぬことは許さないわ。」
黎奈は納得出来ないような表情を浮かべながら依姫の部屋の前を去った。
《そろそろ着地するわ。座標は前回と合わせているから。継音は着地体制になるってみんなに伝えておいて。》
「かしこまりました、」
継音は着地に向けてその場にいる乗組員にこのことを伝えた。