殺された未来と父親としての杏雅
禍月「今回はグロテスクかもしれませんね。」
「そういえば醒邏さんのご家族って…」
「杏雅です。…緋星杏雅。」
神子は少し眉間にしわを寄せたがすぐに表情を戻す。神子は醒邏の表情を見て“そうしなければならない”と思ったのだ。その顔は悲壮に染まり、とても苦しそうに涙を堪えていた。しかしその我慢を完全に無に帰したのは布都の一言だった。
「なっ!?杏雅といえば今異変を起こしている大罪人ではないかっ!?」
「っ…………!やっぱりっ…」
醒邏は部屋の外へ駆け出し、部屋からいなくなった。すると神子はとてつもない剣幕で声を荒らげた。
「布都!奴の話はするなと言ったろう!なぜ奴の事を言った!」
「た、太子様、申し訳ございません!」
「太子様!醒邏ちゃんが包丁を持って地上へっ!」
「布都!屠自古!今すぐ地上に上がって醒邏を探すぞ!何をし出すかわからないが包丁を持ってる以上危険だ!」
「「わかりました!!!」」
神子と屠自古、布都は急いで地上に向かい、心当たりを探った。
《杏雅たちのアジト》
「…………杏雅?生きてるんでしょ?」
「…………なーんだ。気づいてたんだ。」
醒邏は拘束されていたアジトへ足を運び、杏雅に話し掛けた。醒邏は杏雅が起き上がれば包丁を振り下ろす。そうすれば部屋は血に染められた。しかし醒邏は杏雅が死んでも包丁を突き刺し続ける。そしてしばらく突き刺すと服も血に染まり、虚ろな目で博麗神社へと歩いた。
《博麗神社》
「…………」
醒邏は何も言わず、博麗神社に現れればそのまま巫女のいると思われる方向へ歩き、縁側で止まった。
「………っ…」
醒邏は自分の手を見て博麗神社の母屋に入る事を断念し、帰ろうとした。
「貴女が醒邏ちゃん?」
後ろから話し掛けられれば虚ろな目で振り返る。
「…やっぱり。上がって。お風呂に入れてあげる。ぬるいくらいでいい?」
「…………」コクン
醒邏が頷けばその巫女、博麗霊夢についていった。そして風呂に入り、霊夢の膝で神子を待った。
「…………ところで…なんであんなに血まみれだったの?言いたくないなら言わなくていいけど…」
「…お父さんを殺した。」
禍月「grotesqueだというクレームは受け付けません。これが私です。」