天使と死神がささやく
いつの頃からか、天使と死神が私の肩で囁きあう
天の国はよいところだ
いや死の国は静かなる地だ
私が起きてから寝るまで、睦み事の様にいっそ楽しそうに
いっそ甘美に
喜びこそ、我が命
いや哀しみこそ、人生の深み
私が悩み足を止めればこれ幸いと声は大きく、私を引っ張り誘惑する
さぁ高らかなるラッパの先へ
いざ、静かなる地の底へ
生くるは死ぬための道順
死ぬるは生くるの遥かな先行き
甘く甘く、どこまでも二対は甘くささやく
どちらも行き先は同じではないのかと問えば、どちらも沈黙で応える
今、私に大事なのは
どちらにも耳傾けず
どちらにも心傾けず
たゆまなく行かん我が道を
二対はそっと優しく笑う。
初めて二対はふわりと笑いて去りて、いずこかへ
いつかは会おう。
だが、まだその時ではない。
その時は
近しき隣人として、二対よ
再びまみえん。