蟹
タラバさんとズワイさんのやりとりをお楽しみください!
ズワイ:あなたは・・・タラバさん、こんにちは。ここは、暖かいですね。
タラバ:おっ・・・君はズワイか。そうだな、ここは、暖かい。
ズワイ:すごく、賑やかですね。
タラバ:そうだな、賑やかだな。
・・・
ズワイ:タラバさんは、何回、網に捕まったことがありますか?
タラバ:何を言っている。もちろん、一回だ。一生で、一回だ。
ズワイ:実のところ、私は二回、捕まっています。
タラバ:そうか。君は、二回目の君ということか?
ズワイ:違います。一回目、体の小さい私は、命からがら逃れることができました。
タラバ:そうか。
ズワイ:仲間の多くは一回目に捕まってしまいました。
タラバ:そうか。
ズワイ:今回は、体が大きくなっていたこともあり、逃れられませんでした。
タラバ:そんなに、大きくないだろう。俺からしてみれば、まだ小さい。
ズワイ:そうでしょう、そうでしょう。
タラバ:それに、細い。
ズワイ:そうでしょう、そうでしょう。
タラバ:君に食べるところなんて、ないだろう。
ズワイ:食べるところ?それは、なんですか?
タラバ:何も知らないのか、君は。
ズワイ:えぇ、知りません。私はこれから、どうなるのでしょうか?
タラバ:それはもちろん、喰われる。それだけだ。
ズワイ:喰われる?この、私達を眺めている生き物にですか?
タラバ:そうだ。君は無知の割に、察しがいいな。
ズワイ:ありがとうございます、ありがとうございます。
タラバ:奴らは、この時期に、赤と白のものを、食べる。
ズワイ:えぇ、えぇ。
タラバ:我々、蟹は、正に赤と白だ。
ズワイ:えぇ、えぇ。
タラバ;しかも、うまい。らしい。
ズワイ:えぇ、えぇ。
タラバ:だから奴らは、我々、蟹を喰うのだ。
少年A:「ママ、蟹食べたい!」
ママA:「そうね、年末だし、蟹、食べましょうか。」
ズワイ:そうなのですか。タラバさんは、本当に、物知りですね。
タラバ:そうだ。
ズワイ:でも、一つ、言っておきたいことがあります。
少年A:「ママ、これにする!」
ママA:「タラバね。肉厚で、美味しいわ。」
タラバ:捕まった!君、言いたいことがあるなら、早くしろ!
ズワイ:はい、わかりました。でも・・・。
タラバ:いいから、早くしろ!
ズワイ:あなた、ヤドカリ・・・ですよね?
タラバ:なに!どういうことだ!詳しく・・聞かせろ~~・・・
ズワイ:あぁ、もうあんなに遠くまで。さようなら、物知りな、タラバさん。
少年B:「ママ、蟹食べたい!」
ママB:「蟹なら、ズワイが、美味しいわ。」
ズワイ:私もすぐに、そちらに逝きます。
タラバさん、ズワイさんの個性は筆者の勝手な都合です。
(※スーパーでタラバさんに偏見の目を投げかけないで下さい(-人-))