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一死目に終われず

 死んだ。カッコワライ。すいーつ。



   〔1〕


 それなりに頑張って働き通したし、他人の役にも立ったと思う。

 ただ、自身の元気がそこまで長続きしなかった。三十路を迎えるかどうかといった年、気が付いたら何も踏ん張れなくなっていた。


 仕事をまともに処理できなくなったため、破綻する前に辞職した。

 その内に寝床から起き上がる気力すらなくなってきたので、最低限の食料確保以外では外出すらしなくなった。

 特別何の病気というわけではない。いやあるいは厳密に調べれば疾患もあったのかもしれないが。いずれにせよ病院へなどは行かなかった。医者にかかることができるのは元気者の余裕だ。


 かつての貯金を取り崩しながら黙然と過ごす日々。

 ろくに立ち歩くこともなくなった手足は痩せ細ってゆく。

 そんな自分を、しかし卑下する理由もなかった。世間を見渡せば、三十前後で()()()()奴はけっこういるのだ。生物学的にも人間は三十過ぎあたりに一定の限界がある。ああ自分はそちらの側の出生物だったのだなと、理解が及ぶというだけだった。


 そうしてついには内臓の機能にすら不全が至ったのか、命の涸れ果てを実感する数日を経て。

 恐怖の海に没しながら、納得ずくで狂い死んだはずなのだ。



 ……だが、続いてしまった。

 続いてしまったなら、どうすればよいというのか。


 この――終わりを見失った己で。

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