第97話 コントロール
「うっ・・・」
「くっ・・・」
良平、光太郎に動きがともに鈍くなる。
動揺しながらも良平は横に転がって美樹の銃口から逃れ、光太郎は後ろに跳び、妖の髪をかわした。
そのまま良平は校舎の中に入り、美樹のレーザーガンから逃れる。
「あれ?逃げちゃうの?」
美樹がそう言いながら後を追う。
光太郎は立ち上がり再びナイフを手に戦闘態勢に構えた。
どうやら不利になっても逃げる気は無いようだ。
「何を・・・したの?」
その様子を見ながらリンは苦しそうに言った。
やはり俊平の一撃が効いているようだ。
「いえ、ただ彼らにつけていたリストバンドの重さを重くしただけです。」
「!?」
「もともとあれは僕のものでしたからねえ。コントロールできてもおかしくは無いでしょう。
そう言って俊平は左側の内ポケットにその装置をしまった。
「でも・・・それを壊せばあのリストバンドは外れる・・・でしょ?それ、元の私たちの世界にあったよね。」
「はい、その通りです。しかし、それは不可能です。あなたはここで終わりですから。」
そう言って俊平がレーザーガンの銃口をリンに向ける。
その瞬間、リンが俊平の右足首を思い切り蹴り、俊平はバランスを崩し地面に手をついた。
リンはその瞬間を見逃さず、剣を横凪に振るった。
わずかばかり俊平は反応が遅れ、立ち上がってかわしたのだがリンの剣が掠めたようだ。
両腕の袖が切れ、腕からは血が滴り落ちていた。
「完全にこれ狙いですか・・・」
自分のうちポケットに入っている装置を示しながら俊平が言った。
確かにあと少しでも反応が遅れていたら装置はリンの剣によっては破壊されていただろう。
「それさえ壊せば光太郎さんと良平は楽勝で勝てるしね。」
そう言ってリンはゆっくりと立ち上がった。
「・・・だから・・・それは無理と言ったでしょう!!」
俊平がそう言った瞬間、俊平の姿はリンの視界から消えた。
「なっ・・・!?」
リンが慌てて辺りを見回すと後ろに回し蹴りを放った瞬間の俊平の姿があった。
その蹴りはリンのわき腹に当たり、リンは吹き飛ばされ近くにあった木に激突した。
「・・・ッ!!」
リンは顔をしかめながら声にならない叫び声を上げた。
そしてそのまま動かなくなる。
おそらくアバラの2,3本は折れているだろう。
「もう終わりですか?つまらない・・・」
そう言って俊平がためらいも無く構えていたレーザーガンの引き金を引く。
発射された弾はリンの肩を貫通する。
外したのではない。
リンが避けたのだ。
「くっ・・・!!」
リンはそのまま転がり十分に間合いを取ると立ち上がり、体勢を立て直した。
「へえ・・・まだ動けますか・・・」
余裕の笑みを浮かべたまま俊平が再びレーザーガンをリンに向け、発砲した。
それをリンが剣で弾く。
「まだまだ・・・負けないよ。」
撃たれた所を抑えながらそう言って俊平をまっすぐと見据えた。