第80話 自信
ー特訓終了一日前ー
「はあ・・・いよいよ明日で終わりか・・・」
光太郎がため息をつきながら言った。
これまでのことを思い出しているのだろうか。
「あれ?光太郎さん、もっとやりたかったですか?」
にやりと笑いながら燃が言った。
「馬鹿言うな。こんな特訓、さらに続いたら体壊すどころかそれこそ死んじまうって・・・」
苦笑いをしながら光太郎が言う。
どうやらこの2週間は相当きつかったようだ。
「そうですか。それは良かった。」
爽やかな笑みを浮かべながら燃は嬉しそうに言った。
「何だ?その良かったってのは?俺は嫌味言ったつもりなんだがな・・・」
想定外の反応をして不満なのだろうか。
「そりゃあ、もっとやりたいなんていう特訓だったら強くなれませんもん。」
笑顔で燃が言う。
「・・・この悪魔め・・・。」
苦笑いをしながら光太郎が言った。
「光太郎さん達が強くなってくれるなら悪魔で結構です。」
笑顔を崩さずに燃が言う。
「そうか・・・そういえばお前、何でこんなに俺たちの特訓に付き合っているんだ?」
突然思い出したように光太郎が言う。
「いきなりどうしたんですか?」
燃が不思議そうに訊く。
「その強さがあればお前一人でもどうにかなるんじゃないかとおもってよ・・・いや、別にお前ひとりで闘えって言っているんじゃなくてなあ・・・」
どうやら話したいことがまとまらない様だ。
「・・・・・・何言ってるんですか?今、光太郎さんたちが戦ってくれなきゃ俺は絶対に健一には勝てませんよ。」
「?・・・どういうことだ?」
「つまりは向こうも大勢で攻めてくるんです。一体10ぐらいじゃ、とてもじゃないけど敵いっこないですよ。」
「いや、しかしなあ・・・」
光太郎は考え込む。
「俺たちで本当にお前が勝てないような相手を倒せるのか・・・って思ってよ。」
「・・・・・・」
光太郎の言葉に燃は目を丸くする。
「な・・・なんだ?どうした?」
突然黙ってしまった燃に光太郎が焦って声をかける。
「いやあ、光太郎さんがそんなに弱気な言葉を発するとは思わなかったので・・・」
「・・・・・・うるせえ・・・」
思わず光太郎が赤面する。
「大丈夫ですよ。今の貴方達は俺と同じくらいの強さを持っています。」
笑顔で燃が言った。
「へえ・・・って、はあ!?そんなわけが・・・」
光太郎が否定しようとした瞬間、反射的に首を後ろに逸らした。
その前を燃の作り出したエネルギーの剣が通る。
「今のはかなり速く剣を振りました。前の光太郎さんだったら間違いなく首が飛んでいましたでしょう。」
「な・・・ななななっ!?何すんだよいきなり!!」
燃の行動に思わず光太郎が声をあげる。
「そして・・・」
そう言って燃が小屋のドアに向けて巨大なエネルギーの衝撃はを放つ。
「おはよ〜」
眠そうな声をあげて美穂が小屋から出てくる。
「美穂っ!!」
光太郎が驚き、声をあげる。
衝撃波が美穂を吹きとばすと思いきや、美穂はそれを手で受け、空に弾き飛ばした。
「?」
美穂は何が起こったか分からないようだ。
今のは反射的だったのだろう。
「このように二人ともこの特訓で確実に前とは段違いに強くなりました。」
「そ・・・そうなのか・・・?」
「はい。だから自信を持ってください。皆大抵の敵には負けません。」
笑顔で燃がそう言った。
「それじゃ、特訓はは後二日。ラストスパートをかけますよ!!」
「・・・・・・おう!!」
光太郎は少し戸惑った後、気合の入った声でそう言った。
「?・・・お〜・・・」
美穂は訳がわからず、光太郎に合わせて情けない声をあげた。