表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  作者: 水野 すいま
72/124

第72話 修行開始

山の中を一人、光太郎が歩いていた。

「全く・・・『向こうの山ほうをただ歩いて来い』って言われたけど、これで本当に修行になるのかよ・・・」

光太郎が一人で文句を言っていると、不意に後ろから気配を感じて咄嗟に前に飛んだ。

「くっ!!」

後ろで何かが地面に当たる音が聞こえた。

「何だ?」

音の聞こえた方を向くとそこには矢ぐらいの長さの棒が落ちていた。

それの後ろの方には細い糸が付いており、その棒はそれに巻き上げられて何処かに消えてしまった。

「なるほどな・・・これでスタミナを鍛えろってか?」

光太郎はそう言うや否や勢い良く走り出した。

前から棒が横凪に振るわれる。

光太郎はそれを伏せて避け、立て続けに前に勢い良く転がる。

もともと光太郎がいた場所に何本かの棒が飛んでくる。

光太郎が態勢を立て直した瞬間、左右と上から同時に棒が振り下ろされる。

「チッ!!」

光太郎は舌打ちをしながらも、高速移動をして間一髪のところでかわした。

再び光太郎が地面に足をつけた瞬間、今度は後ろから膝の辺りに、前から顔の辺りにそれぞれ同時に棒が振るわれる。

タイミングよくバク転をして光太郎はそれをかわし、態勢を立て直した状態で地面に降りた。

「なるほど・・・休んでいる暇はないって事か・・・!!」

光太郎は高速移動で次の攻撃をかわす。


「君は気を収束し過ぎるとどうなるか知っているかい?」

燃は石の上に座りながらそんなことを言い出した。

「ううん。」

美穂は首を横に振る。

「皮膚が気の強さに負けてこんな風に破裂をする。」

そう言って燃は一昨日の戦いでの傷を見せる。

まるで陶器にひびでも入ったかのような傷だ。

「・・・・・・」

美穂が息を飲む。

「人間には許容量ってものがあるからね。これを越えるとその力は己をも切り刻む。君にはこれを覚えておいてもらいたいんだ。」

燃がそう言って捲くっていた袖を元に戻す。

「じ・・・じゃあ、私はあれ以上は強くなれないの?」

美穂が乗り出しながら言った。

「そんな事はない。許容量が増えることはないけど、燃費を良くすることは出来るからね。」

「?」

美穂が首をかしげる。

いまいち意味が分からないようだ。

「まあ、やってみれば分かるよ。」

そう言って燃は目の高さまで腕を掲げる。

「まずは収束。これは君も出来るよね。」

辺りの気は燃の腕に収束されていく。

燃の腕は黄色いオーラを纏っていた。

「次に圧縮。君にはこれを覚えてもらいたいんだ。」

燃が手を硬く閉じると、燃の腕の周りのオーラの色は濃くなり、小さくなる。

「これが出来るようになれば、許容量は圧倒的に増える。」

そう言って燃は腕に纏っているオーラを拡散させた。

「それ、2週間で習得出来るの?」

美穂が不安げに聞く。

「出来るかどうかじゃなくてやるしかないんだから、やるしかないだろう?」

「・・・・・・うん。そうだね。私頑張るよ。」

まだ少し不安なのか、地面を見ながら言った。

燃はため息をついて美穂の近くに歩み寄り、平手で背中を強く打った。

「いったぁ!!何するの!?」

美穂が涙目になりながら怒ったようにそう言った。

「大丈夫だ。君なら出来る。俺は君のことを見込んでここに連れて来たんだから、絶対に習得させてやる。」

そう言って燃は美穂から数歩離れた。

「そんなことよりも今は特訓だ。すぐに始めるぞ。」

自分で言っていて照れくさかったのだろうか、燃の頬がかすかに赤い。

「・・・・・・うん!そうだね。私、絶対に習得してみせるよ。」

燃の言葉に元気付けられたのだろうか、美穂は元気良くそう言った。

「・・・ああ、そうだな。頑張れ。」

一瞬あっけにとられた燃だったが、すぐに理解したのか頷きながらそう言った

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ