第71話 喜び
「ふぁ〜あ・・・よく寝た・・・って、あれ?ここは・・・?」
目覚めた美穂は眠たそうにあくびをしてから、そう言って辺りを見回す。
何処かの小屋みたいだ。
窓のカーテンの隙間から日の光が差し込んでいる。
そのカーテンを開けてみると、そこにはたくさんの木が並んでいた。
「ここは・・・?」
美穂はとりあえず事態の把握をしようと、その部屋から出る。
部屋から出たすぐそこには階段があり、美穂はそこを降りる。
「お、起きたか?」
右を見ると台所のような場所があり、そこには料理をしている燃の姿があった。
「燃・・・さん・・・おはよう・・・」
まだ眠いのか目をこすりながら美穂が挨拶をする。
「おう、おはよう。」
燃が返事を返す。
「光太郎さんが外で自主トレしてるから、呼んできてくれないかい?もうご飯が出来るって。」
そう言って燃はご飯をよそい始めた。
「それはいいんだけど、一つ聞いていい?」
「何だ?」
燃が振り向く。
「ここどこ?」
その言葉を聞き、燃は大きなため息をついてから美穂が寝てしまってからのいきさつを話した。
「え!?じゃあ、ここが修行場なの?」
驚いた顔で美穂が言う。
「ああ、これから2週間ここで修行してもらう。」
燃は腕を組みながら言った。
「・・・・・・・・・やったぁ!!」
美穂は大きな声を出して喜んだ。
「・・・・・・は?何で喜んでいるの?」
思わず訊いた。
てっきり嫌がるものだと思っていたのである。
「だって私こういうところで生活するのに憧れてたんだもん。」
目をキラキラさせながら美穂が言った。
「・・・そう言うものなのか?」
呆れた顔で燃が言う。
「そう言うもの!!」
美穂が力強くそう言った。
「分かった。分かったから早く光太郎さん呼んできてくれ。」
首を横に振りながら燃がそう言った。
「うん。わかった。」
美穂はそう言って小屋を駆け足で出て行った。
「あいつの考えていることはいまいち分からん・・・」
燃は美穂が出て行くのを見ながら、そう呟いた。