第7話 閃光
健一が降り立つとビルの屋上に居た人は慌てて何かをしまい、上着と帽子を身に付け、逃げようとした。
その人は振り返ったが、暗すぎて健一から顔は見えなかった。
「無駄だ。ここは屋上だ。逃げ道なんて無い。」
健一はそう言って前に進み出た。
逃げ道はあるが、そこは健一が通せんぼをしている。
「お前何者だ?普通、ここから学校は狙えない・・・お前がエネルギーの使い手か?」
「・・・・・・」
健一が何を言っても相手は答える気配を見せなかった。
「何故何も言わない?」
健一がそう言った瞬間、目の前で閃光が走った。
「なっ!?」
健一は目が眩んで何も見えなくなった。
しばらくして辺りを見回すと健一の後ろのドアが開いていた。
「くそっ・・・やられた・・・」
健一は悔しそうにそう言った。
「あっ、健一君!どうだった?」
健一が教室に戻ると洋子が走り寄ってきた。
「いや、追い詰めたには追い詰めたんだが、目を眩まされて逃げられた・・・」
健一は残念そうに言った。
「そうなんだ・・・そういえば弾が残ってるんじゃないかと思って探してみたんだけど学校の外まで貫通しちゃってて・・・」
「そうか・・・・・・は?・・・学校の外まで?」
健一は驚いたように言った。
「うん。」
「やはり、エネルギーの使い手の仕業か・・・」
健一は顎に手をもっていき、考えながら言った。
「そういえば健一君、これどうするの?」
洋子は不安そうに聞いた。
「死体のほうはしばらくすれば消える。壊れた教室はこうやって・・・」
健一は壊れたところに手をもっていき、直して見せる。
「えっ!?何これ!?どうやってんの!?」
洋子は驚きながら言った。
「俺の体を分解してここに当てはめているだけだ。」
「あ・・・そうなんだ・・・それで、健一君の体は大丈夫なの!?」
「ああ・・・俺の体は無限代にあるからな。」
「ふ〜ん」
洋子は感心したように言った。
「というか、お前、夜の学校には近づくなってさっき言ったばかりだろうが・・・」
健一は呆れた目で洋子を見た。
「あ・・・それは・・・え〜と・・・ノート、そう!ノートを忘れちゃって・・・」
洋子は思い出したように言い、自分の机の中を探した。
「あったあった。宿題やんなくちゃいけないからね。」
「よし、じゃあもう帰れ。用事は済んだろ。」
健一はそう言って洋子に背を向けた。
「え〜・・・」
洋子は小さい子のように駄々をこねた。
「え〜・・・、じゃない!帰れ!」
「そんなあ・・・」
「そんなあ、でもない!今すぐに帰れ!」
「でも・・・」
「ああ、もう!しつこいな!早く帰れ!」
「一人じゃ恐いもん。女の子をこんな夜遅くに一人出歩かせる気?」
洋子は上目遣いで言った。
「・・・分かったよ・・・じゃあ、送ってやる・・・」
健一は負けたというように言った。
「わ〜い」
洋子は子供のように喜び、家に向かった。