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  作者: 水野 すいま
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第68話 特訓の始まり

「じゃあね。また明日。」

そう言って手を振りながら由香里は学校を出た。

しばらくして学校に張ってあった結界は解かれた。

「ばれちまったみたいだな。」

いつの間にか良平がニヤニヤと笑いながら後ろに立っていた。

他の皆もそれぞれ別のことをしながらそこにいた。

「ああ。まあ、仕方ないさ。あのときの学生があいつだったとは思わなかったし。」

燃は深いため息を吐きながら言った。

「そうだな。今さら何を言ったって始まらないって事か。」

「まあ、そう言うことだ。・・・ところで俺と戦った皆にそれぞれ話しておきたい事があるんだが・・・良いか?」

皆が一斉に燃の方向を向く。

「まずは光太郎さん。貴方に言っておきたいことはただ一つ。・・・戦うときは本気を出してくれないとコメントしようがありません。俊平さんからもらったんでしょうけれど、その重りをはずしてから戦ってください。」

燃は光太郎の両腕と両足に巻いてあるリストバンドを示しながらそう言った。

「あらま・・・いつから気付いてた?」

驚いた顔をした光太郎がそう言った。

「普段戦ってる人ならあれくらいで、すぐにバテる筈がないですからね。」

確かに光太郎は連続で5回ほど高速移動を使っただけでバテていた。

「確かに・・・」

納得したのか光太郎は頷きながらそう言った。

「そして良平、お前はちょっと先読みに頼りすぎだろ?」

良平の方に向き直り、燃が言った。

「何でだよ?先読みしちゃいけないのか?」

良平が自分の能力にケチを付けられ文句を言う。

「そうは言っていない。頼りすぎて反射神経が遅くなっているって言っているだけだ。反射神経が鈍くなると普段慣れていない動きをされると対処できなくなる。相手は妖だから戦い方なんてこっちとは全然違うだろうしな。」

「・・・・・・じゃあ、どうすれば良いんだよ?」

歯を食いしばりながら良平が言った。

「そうだな・・・・・・リン、お前に任せて良いか?」

燃がリンの方に向き直り、そう言った。

「え?・・・ああ、うん。良いよ。」

リンは戸惑いながらもそう言った。

「リンはもともとこの世界の住人じゃないから、普通とは動きが全く違う。良平はリンと特訓をしていてくれ。」

そう言いながら、燃が美穂の方へ向く。

「さて・・・問題は君だな・・・」

顎に手をやりながら燃が言う。

「え・・・私?何で私が問題なの?」

自分のことを指で指しながら信じられないといった様子で美穂が言った。

「本当のところ、君は気のことを良く分かっていないだろう?」

真剣な顔で燃が言った。

「え?・・・う・・・うん。でも、何で?」

どうやら相当戸惑っているようだ。

「やっぱりな・・・」

首を振りながら燃がそう言った。

俊平に燃が近づいて行った。

そして二人が秘密の作戦会議でもするかのように座り込む。

「俊平さん、この娘も改造したんですか?」

皆に聞こえないように小声で燃が俊平に聞く。

「・・・正解。だけど、良平君たちとは違って妖の体と合成したわけじゃないよ?」

俊平も小声で話す。

「無理やりの気の感知能力上昇・・・ですか?」

「それも正解。彼女が妖と合成するのが嫌で、だけど強くなりたいって言うからさ。これしかないって思ったんだ。」

「それで俺に気の使い方を教えてやってくれと?」

「またしても正解。さすがだね。何でもお見通しみたいだ。そう言うことでよろしく頼むよ。」

そう言って俊平が顔の前で手を合わせる。

「はあ・・・・・・分かりましたよ。任せてください。」

大きなため息をついてから燃はそう言ってゆっくりと立ち上がった。

「ありがとう。」

俊平が微笑む。

「じゃあ、君の特訓は俺が受け持つことにしたから。よろしくな。」

そう言って燃は美穂の方に振り返った。

「あ・・・はい、よろしく・・・って、ええ!?そうなの?」

美穂は驚きながらそう言った。

「ああ、そうだ。これから2週間ほど俺が特別な場所でみっちりと修行してやる。」

頷きながら燃が言った。

「あっ!そうだ。光太郎さんも来ます?いい修行場あるんですけど・・・」

突然思い出したように燃が言った。

「あ?俺?あ・・・ああ、じゃあ行こうか。」

突然話を振られて驚いた様子だったが、光太郎はすぐに承諾した。

「で・・・でも学校とかはどうするの?」

『みっちり』という言葉が嫌だったのか、戸惑いながら美穂がそう言った。

「それは良平とかに任せておけば良いだろ?」

良平を指で指しながらそう言った。

「そう言うことで良平!ちょっとこの娘2週間くらい借りるから、よろしくな。」

良平に向かって燃はそう言った。

「あ?・・・まあ、別に良いけど?」

リンのことをチラリと見ながら良平が言った。

「それとリン、」

「もう分かってる。」

燃が何か言おうとしたのをリンが遮った。

「『留守を任せたぞ』でしょ?」

そう言ってリンが微笑んだ。

「ああ、頼んだ。」

そう言って燃は美穂の手を掴み、歩き出した。

「え!?い・・・今から?ねえ!明日からじゃないの?ねえ!」

美穂が何と言おうと燃が止まることはなかった。

光太郎もすかさずその後を追う。

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