第64話 燃vs美穂 1
またまた夜の学校。
校門に入ったところで美穂が燃に気付き、手を振る。
燃も力なく笑いながら手を振った。
相当疲れているのだろう。
笑顔に活気が見られない。
「今日も変わらず・・・か?」
何か違和感を感じたらしい。
燃の言葉は途中から疑問形に変わっていた。
あたり見回す。
特に変わった様子はないようだ。
「気のせいか。」
燃は再び美穂の方に歩き出した。
「あれ?君の武器はそれか?てっきり丸太でもぶん回すのかと思った。」
だらだらと歩いて美穂の近くまで行くと、燃は美穂の武器が普通の木刀であることに気付き、そう言った。
おそらく丸太というのは前回の戦いを見て判断したのだろう。
「ねえ、それって何か失礼じゃない?」
美穂は燃の言葉の中の何かに苛立ちを覚えたようだ。
「気のせい気のせい。」
ニヤリと笑い、木刀を構えながら燃がそう言った。
「ふ〜ん・・・」
起こった表情のまま、美穂も同じく普通の木刀を構えた。
燃はその状態のまま気を収束しだした。
「・・・・・・これは・・・!!」
あることに気付き、気を収束せずに燃は後ろに飛び下がる。
燃の居た所に美穂の木刀が通った。
その木刀は地面にあたり、軽い爆発が起きる。
「ちょっ・・・ちょっとまてえええ!!」
燃は驚いた表情で思わず叫んだ。
「・・・・・・何?」
美穂は土煙の中でゆっくりと立ち上がり、そう言った。
「『何?』じゃないって!!こんな攻撃当たったら死ぬだろ!?」
「何で?気を纏えば良いじゃん。」
不思議そうな顔をして美穂が言った。
(・・・・・・こいつ、まさか分かってないのか?)
燃はそう思いつつ、黙って再び構えた。