第46話 夜の事件
修学旅行の第二日目の昼の行動は終った。
しかし、学生にとってこれからが修学旅行の醍醐味なのである。
午後11時、消灯時間により生徒達の部屋の電気は全て消された。
金田健一、渡辺洋子、中原美樹の三人が抜けたことにより、二つの班が合併された。
合併されたことにより燃、良平、美穂の三人は同じ班になった。
真っ暗な部屋の中で三つの光が灯っている。
「なあ、良平・・・」
燃はゲームをやりながら良平に話し掛けた。
「なんだ?」
良平も同じくゲームをやりながら答える。
「俺たち早く寝ろって言われたよな?」
燃は先生に言われたことを思い出しながら言った。
「ああ、それがどうした?」
良平がゲームから燃に視線を移して聞く。
「寝なくていいのか?」
「お前、馬鹿か?寝ろといわれて寝る奴は高校生にあらず。普通は眠ったりなんかしねえよ。」
説教口調で良平は言った。
「今日引っ張りまわされたせいで俺眠いんだけど・・・」
燃は眠そうに言った。
「そんな言葉は認めん!3時までは寝かせないぞ!」
胸をはりながら良平は言った。
「うへ〜・・・まじかよ・・・」
疲れたように燃が言う。
「ああ、まじだ・・・って、ああ!!てめえ、さっきから静かだと思ったら・・・俺いつの間にか3回も死んでんじゃねえかよ!!」
良平は美穂を指で指しながら怒鳴った。
「へへ〜」
ニヤリと美穂が笑う。
「『へへ〜』じゃない!!っああー!こいつむかつく!!」
頭をかきむしりながら良平は叫んだ。
「お・・・おい、そんなに騒いだら・・・」
燃は嫌な予感がし、良平を止めようとした。
「おい!お前ら、何してやがる!!」
燃の嫌な予感は的中し、先生が勢い良く入ってきた。
部屋の中には逃げ回っている少女、それを追いかけている少年、そしてそれを止めようとしている少年、どれもさまざまな形だが、その三人全てが手にゲームをもっている。
その場で燃は大きくため息をついた。