第45話 学生生活
「その傷どうしたんだよ?ね・・・じゃなくて倉田。」
無事光太郎との戦闘を終え、倉田信吾の姿をした燃を見て秋葉原竜太の姿をしたリンはそう言った。
「いや、ちょっとそこで転んで・・・」
燃は苦し紛れにそう言った。
「そ・・・そうか、気をつけろよ。」
「ああ、そうするよ。」
そう言って燃は黒田良平に呼ばれたのでそっちの方向に走っていった。
「何だ?」
黒田良平の近くまで行き、燃はそう言った。
「なんだじゃねえよ。今修学旅行中だろ?」
「?・・・ああ。そうだったな。で?何の用だ?妖か?」
何が言いたいのか分からず、燃は首をかしげた。
「そうだったなって・・・いいか、燃。お前は草原高校の学生だ。そして今、修学旅行にきている。」
良平は周りに誰もいない確認してから、まるで子供に一から説明をするようにして言っている。
「?」
まだ分からないのか、燃は眉にしわを寄せている。
「お前は馬鹿か!!」
「いってえ!!」
良平は燃の頭を思い切り殴り、燃は唐突の攻撃に驚き、頭を抑えた。
「何すんだよ!?」
燃は相当痛かったのか、涙を浮かべながら言った。
「どうもお前は普通の学生生活ってのを忘れちまっているらしいな。」
腕を組みながら良平は言った。
「普通の・・・生活?」
「ああ、そうだ。今からそれを教えてやる。」
そう言って良平はどこからともなくスピーカーを取り出した。
『SBクラスのみんなあー!!ちょっと集まってくれえー!!』
そのスピーカーで恐ろしく声を拡大した良平の声はおそらく半径2キロメートル以内の人には聞こえたのであろう。
その地域の住民は何事かと顔を出している。
「な・・・なにを・・・?」
燃は耳を塞ぎながら言った。
SBクラスの集団は10分もしないうちに良平の周りに集まった。
「どうしたんだ黒田?」
「何かあったのか?」
皆はそれぞれ良平に質問している。
「皆、集まってくれてありがとう。それぞれ予定はあったとは思うが、今はそれを我慢してくれ。」
そう言って良平は塀の上に上った。
「今回のターゲットは倉田信吾!こいつは皆知ってのとおり暗い!そしていまいち学生の修学旅行ってのが分かっていない!皆、こいつに修学旅行ってもんを教えてやろうぜ!!」
良平は一息にそう言った。
「なっ!?良平、ちょっと待て!!俺は別に・・・」
燃は急いで訂正しようとした。
「「「「「「「「「おおーーーーーーー!!」」」」」」」」」
皆は一斉にそう叫んで手を挙げた。
「お・・・おい!!ちょっと待て。先生!先生!!」
燃は最後の頼みの綱と思い、先生を探した。
しかし先生は何とその人ごみの中で一緒になって手を振り上げていた。
燃は絶句し、思わずリンの方を見る。
秋葉原竜太の姿をしたリンは人ごみの端のほうで笑っている。
「ちょっと待てってお前ら!!わっ!!いや、だから・・・人の話をきけぇ〜〜〜!!」
燃の抵抗は空しく無駄に終わり、そのまま大勢に囲まれて連行された。