第39話 話
「ちょっと聞いておきたいんだが、いいか?」
良平が真面目な顔をして燃に話し掛ける。
「ん?別に良いけど・・・」
リンの寝顔を見つめていた燃は顔を上げた。
「次にあいつらが来たらどうするんだ?」
「あいつら?」
「健一たちのことだ。正直あいつらの強さは半端じゃないぞ?」
後ろで美穂も真面目な顔をしながら頷いている。
燃は二人の顔を交互に見ると、深いため息をついた。
「作戦会議って訳だな・・・」
「そうだ。」
真剣な顔をした良平が答える。
「敵の目的はおそらく人間だ。」
燃も真剣な顔をして言った。
「人間・・・?」
訳がわからないと言った顔で良平が燃に聞く。
「ああ、さっき健一がこっちの世界と向こうの世界を一瞬だけつないだろ。」
「ああ、そうだが・・・?」
まだ、燃が何を言おうとしているのか分かっていないのか、良平は眉にしわを寄せた。
「その瞬間に鼠を放り込んでおいた。」
「鼠・・・?」
「スパイのことだ。」
良平がまだ意味が分かっていないと悟ったのか、燃は聞かれる前に説明をした。
「スパイってお前、誰をもぐりこませたんだ?」
「『誰』じゃなくて『何』の方が近いな。」
燃はそう言って手を前に掲げた。
手には虫のようなものが乗っている。
「何だそれ・・・?」
良平は思ったことをすぐに口に出した。
「エネルギーの応用だ。」
そう言うとその虫のようなものは燃の手から赤いオーラとなって消え去った。
「へえ・・・すげえな。」
感心したように良平が言った。
「今、こいつで向こうの世界を調べているんだが、どうやら向こうは飢饉らしいな。」
「飢饉って言うとあの飢饉?」
美穂が口をはさんだ。
「ああ、妖の数が増えすぎたみたいで食べるものがなくなっているようだ。」
先程の虫のようなものと連絡を取っているのか、燃は何もない方向を見ながら話している。
「って言うとやつらは俺らを食うためにこっちに来ているのか?」
良平はようやく理解してきたらしい。
「まあ、そういうことだろうな。ただ・・・」
燃は途中で話を止めた。
「ただ・・・なんだ?」
途中で話を止めた燃を不審に思ったのか、良平は燃の顔を覗き込む。
「いや、まだ確証がないから確かになったら話すよ。」
首を振りながら燃はそう言った。
「そうか・・・出来るだけ早くな。俺焦らされるのあんまり好きじゃねえんだ。」
「ああ、お前の能力を見ているとそんな気がしてくる。」
燃がにやりと笑いながら言った。
「だろ?」
良平も緊張を解き、にやりと笑った。
「ふはあ〜」
突然、美穂が大きくため息をついた。
「?・・・どうした?」
後ろを振り返りながら良平が聞く。
「だってすごい真面目な雰囲気だったんだもん。私ああいうの苦手。」
美穂は力が抜けたようにその場で座った。
「ははは。そうだったな。」
良平も爽やかな笑顔に戻る。
「あっ、そうだ。・・・もう少し真面目な話していいか?」
燃は何かを思い出したようにそう言った。
「ん?ああ・・・なんだ?」
良平が再び真面目な顔になる。
「ええ〜、まだ続くの〜?」
二人はそんな少女の文句を無視し、話をし始めた。




