第33話 エネルギーの使い手対妖
健一は燃の剣を避け、自分の剣を振り下ろす。
燃はそれをエネルギーで盾を作り出して受け、剣を健一に向かって横凪に振るった。
「っと・・・」
思い切り腰を引き、健一はそれをかわした。
燃がすかさず突きを繰り出す。
健一は左手も剣に変え、それを弾き、右手の剣で斜めに振り下ろした。
それをかわしながら燃は思い切り反対方向に踏み込み、体を反転させながら、健一の膝の裏に後ろ回し蹴りを叩き込む。
「くっ・・・」
健一がたまらずバランスを崩す。
「終わりだ!!」
燃は健一のわき腹に剣を突き刺そうとした。
「っ・・・ごほっ、げほっ、ごほっ!!」
だが、燃は突きの途中で止まり、咳き込みながら血を吐いて、エネルギーで出来た剣を落とした。
エネルギーの剣はまるで蒸発したかのようにその場で消えた。
健一がにやりと笑い、燃に向かって剣を斜めに振り下ろす。
剣は燃の肩から腰までを深々と切り裂き、その傷口から多量の血が滴り落ちる。
「くっ・・・ごほっ、げほっ・・・」
燃は傷を抑え、血を吐きながら健一を睨む。
「はっ、惜しかったなあ、燃。もう少しで俺に勝てたのになあ。」
燃を見下ろしながら健一は言った。
「くっ・・・」
燃はよろよろと力なく立ち上がる。
「ほう・・・まだ立てるのか・・・?」
健一は感心したように言うと同時に、燃は再び赤いオーラを纏う。
「当たり前だろ!!」
そう言って燃は赤く光る槍を作り出した。
燃は思い切り踏み出し、健一に向かって突きを繰り出した。
それを伏せてかわした健一は反撃しようと剣を構える。
伏せている健一に向かって、燃は槍の柄で健一の腹を叩いた。
「くっ!」
健一の体は宙に浮き、無防備になる。
そこを見逃す燃ではなく、エネルギーで出来た槍を捨て、新たに剣を作り出し、健一に向かって横凪に払った。
無防備状態になっている健一は今まで出した技の中ではそれを受ける術はないので、燃は勝利を確信した。
しかし、燃の剣は健一の腹を切り裂くことはなく、健一の腹に当たったあたりで止まっていた。
「なにっ!?」
燃は驚いた顔で健一のわき腹を見た。
健一のわき腹は黒い鎧のようなもので覆われ、それによって燃の剣は止められていた。
カウンターを用心して、燃は思い切り後ろに飛び、間合いを取った。
「それは・・・?」
黒くなったわき腹を見ながら、燃は健一に聞いた。
「俺がいつも手を変形させているみたいに腹も変形させて硬くしただけだ。そんなに驚くことでもないだろう?」
にやりと笑う健一がそういった。
「くっ・・・」
燃は顔をしかめながら健一を睨む。
「そうそう、それから・・・」
健一はさらにいやらしく笑うと、指を弾いて音を鳴らした。
「・・・・・・?」
燃は何が起こったのか分からず、あたりを見回す。
風景は先程とあまり変わっていない。
洋子が起き上がっていることを除いては。
「洋子!?・・・健一!お前、まさか!?」
起き上がった洋子を見た燃は咄嗟に健一を見た。
そんな燃を見て、健一は不適に笑った。