第32話 助手
健一が勝ちを確信した瞬間、何かが健一の剣に当たった。
健一の剣は軌道がそれ、燃の横の壁を切り裂く。
「誰だ!?」
健一は何かが飛んできた方向を振り返る。
そこにはレーザーガンを構えているリンの姿があった。
リンは黙ったまま、レーザーガンを連射する。
「くっ!!」
健一はそれらを避け、燃からはなれた。
「大丈夫?燃。」
リンは健一が離れるとすぐに燃に駆け寄った。
「あ・・・ああ。悪いな、リン。」
燃の口の横からは血が垂れ、燃の前には血の水溜りが出来ている。
「ううん。助手として当たり前のことをしただけだよ。」
リンは首を振りながら答えた。
「・・・・・・そうか。」
燃は笑いながら言った。
「もうそろそろ良いか?」
今まで黙っていた健一が口を開いた。
リンは健一の方に向き直り、レーザーガンを構える。
「はっ!俺とやり合おうってか!?」
健一は笑いながら言った。
「うん。倒せはしないと思うけど、時間稼ぎくらいは出来るはず・・・」
リンはそう言って身構える。
「・・・・・・あんまり俺を舐めない方が良いぜ。」
健一がそう言った瞬間、リンの視界から健一の姿がなくなった。
「!!」
リンは一瞬怯んだがすぐに態勢を立て直し、健一の気配を感じ取って後ろからの攻撃を避ける。
反撃をしようと後ろに銃を構えたが、健一はすでにそこには居なく、リンの後ろで剣を上に掲げていた。
リンは咄嗟にレーザーガンを逆手に持ち、振り下ろす剣をレーザーガンの銃身で受ける。
「はあ・・・はあ・・・どう?あなたのスピードには付いて行けるよ?」
リンは息切れしながらも健一をみながら言った。
「スピードはな。」
健一はそう言ってレーザーガンで止められている剣に力を入れる。
レーザーガンにひびが入った。
「くっ!!」
リンは逃げるようにして健一から離れ、健一の顔をみた。
健一はにやりと笑いながら立っている。
「どうだ?これが力の差だ。」
健一はそう言うと地面を蹴ってリンの目の前まで来た。
「っ!!」
リンはひびの入っているレーザーガンで健一の攻撃を受ける。
レーザーガンはひびが反対側まで達し、折れてしまった。
健一の剣はリンの腕の皮と肉を切り裂き、骨まで達したところで止まった。
「ほう・・・」
健一は健一の剣を赤く光る剣で止めている燃を見て面白そうに笑う。
「言ったよな・・・?俺の助手に手を上げるのは感心しないって。」
燃は思い切り剣を振るった。
燃の剣はやすやすと健一の剣を砕き、健一の腹をかすめた。
「くっ!!」
健一は急いで後ろに飛びずさった。
「エネルギーは形も作れるのか・・・。」
健一が感心したように言う。
「はあああああ!!」
燃は掛け声とともに健一の方へ突っ込んで行った。