第31話 裏切り
「健・・・一・・・?」
燃は信じられないといった表情で健一を見ながらそう言った。
健一はすばやく燃の腹に拳を入れ、燃を吹き飛ばす。
燃は近くにあった塀にぶつかり、うつ伏せに倒れた。
「がはっ!・・・ごほっ!げほっ!」
燃は咳き込み、口を抑えている手から血が滴り落ちる。
「っ・・・はあはあ・・・なん・・・で・・・だよ・・・」
燃は苦しそうに言い、健一を睨みつけるようにして見上げる。
健一は燃に近づいていき、燃の顎に足を引っ掛けた。
「はっ!何でだと?笑わせんじゃねえよ。俺は最初から妖の世界の住人だ。」
健一はにやりと笑い、そう言いながら燃の顎を蹴り上げた。
「ぐっ!!」
燃の体は宙に浮き、仰向けに地面に落ちた。
「がっ!・・・ごほっ!げほっ!ごほっ!」
燃は再び血を吐いた。
健一が燃の胸の辺りを踏みつける。
「がっ!!」
燃は苦しそうな声をあげ、少しでも苦しみを和らげようと健一の足を掴んでいる。
「まさかお前がエネルギーの使い手だったとはなあ。」
健一がそう言って踏みつける力を強める。
「っ!!あああああ!!」
燃は血を吐きながら苦しそうに悲鳴をあげた。
相当苦しいのか、手足をばたつかせ、もがいている。
「お前らしくもねえなあ、燃。こんな無様な姿を見せるなんてよお。」
健一は燃を思い切り踏みつけた。
「ぐあああああああ!!」
ベキッと嫌な音がなった瞬間、燃は悲鳴を上げ、燃の口からは多量の血が噴出す。
「お前、肺でも患ってるのか?この出血の量は異常だぞ?」
健一はそう言って足をどかした。
「はあ・・・はあ・・・お前には・・・関・・・係・・・ない・・・!」
燃が息切れしながら言う。
「ふん、まあいい。それより・・・」
健一は燃に背を向け、美樹の方に顔を向けた。
「ごめんなさい・・・早くあなたの役に立ちたくて・・・それで・・・」
美樹は申し訳無さそうに言った。
「そうか・・・だったら良いが、これからはするなよ。」
健一はそう言って燃の方に向き直った。
「じゃあ、お前には早く死んでもらわないとな。」
健一はそう言って右手を剣に変える。
健一はそのまま上に剣を掲げ燃に向かって振り下ろした。