第30話 赤いオーラ
よく見ると目だけではなく、燃の周りの空気も赤く染まっている。
「・・・・・・何なの、それ?」
美樹の頬に一筋の汗が流れた。
おそらく嫌な予感がしているのだろう。
「さあな。そんなことはどうでもいいだろう。」
燃は戦闘態勢にはいった。
美樹は再びレーザー砲を構えた。
「・・・・・・」
美樹は無言のままレーザー砲を撃った。
燃はそれに合わして右手を振るう。
赤い衝撃波がレーザーを打ち消し、真っ直ぐに美樹へと向かって行った。
美樹は間一髪のところで横っ飛びに転がり、それを避ける。
しかし、美樹は横っ飛びに転がっている最中にいきなりバランスを崩した。
燃に足を引っ掛けられたのである。
「くっ!!」
美樹の体は宙に浮いた。
「はあ!!」
燃は美樹に向かってそのまま体を回転させ、後ろ回し蹴りを食らわした。
「がっ!!」
美樹は叫び声を上げながら吹き飛ばされ、飾りでおいてある大きな岩にぶつかった。
「痛ぅ〜〜」
美樹はそう言いながら目を開けると、目の前には赤い衝撃波が迫っていた。
燃は美樹を蹴り飛ばした後、すぐに衝撃波を放っていたのだ。
「くっ!!」
美樹は避けようと体を少し動かしたが、回避しきれずに、燃の衝撃波は美樹の腕と体を引き離し、大きな岩を粉砕した。
「あああああああ!!」
美樹は苦痛の声をあげた。
「へえ。お前、痛覚があるのか?」
燃が美樹に近づきながら驚いたように言う。
美樹の傷口からは切断されたコードやらいろんなものが詰まっていた。
「もう一度訊く。何で俺の命を狙っている?」
燃は倒れている美樹の近くでしゃがみ込み、美樹の顔をみながら言った。
「私が喋ると思う?」
美樹は燃を睨みつけながら言った。
「はあ・・・」
燃はため息をついて立ち上がり、拳を構えた。
「本当はサイボーグでも殺したくないんだけど・・・」
燃は苦しそうに言った。
燃の拳は赤いオーラを纏い、それが腕の周りで渦巻いている。
「はあ!!」
燃は気合の声とともに拳を美樹に向かって放った。
美樹は既に目をつぶり、死の覚悟を決めている。
しかし、その拳美樹まで届くことはなく、途中で止まった。
「なっ!?」
燃は思わず驚きの声をあげた。
燃の拳を止めたのは腕を熊の手のような形に変えた健一だった。