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  作者: 水野 すいま
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第22話 修行

次の日の夜、4人は再び学校に侵入し、修行を開始した。

「まず、気の流れを読むことから始めないとな。」

燃は真剣な顔の洋子に向かって言った。

「目を閉じて、周りの気の動く気配を探ってみろ。」

洋子は言われた通りに目を閉じて五感を研ぎ澄ませる。

「・・・・・・分からないよ、燃。」

しばらくして洋子が苦笑をしながら言った。

「まあ、最初は仕方ないか・・・」

燃も肩をすくめ、笑いながら言うと顎に手をやり、何か考え込む。

おそらく修行方法を考えているのだろう。

しばらくすると、燃の隣に健一が吹き飛ばされてきた。

「ぐ・・・!!」

健一は頭を抑えながら苦悶の表情を浮かべる。

おそらくリンに殴られてここまで飛ばされてきたのだろう。

健一とリン、それぞれ体術は拮抗しているので二人で戦う、これが二人の修行方法なのだ。

「そうだ。健一、リン、ちょっと修行止めてくれ。」

燃は自分の足元に転がっている健一、さらに追い討ちをかけようとしたリンに向かって呼びかけた。

「何でだ?」

ゆっくりと起き上がりながら健一が聞いた。

「洋子に手本を見せがてらお前らの傷を治してやろうと思って。」

燃は二人の傷だらけの体を見ながら言った。

「なるほど・・・ちょっとした小休止ってことね。」

リンは納得したように言った。

「洋子、今やって見せるからよく見とけよ。」

そう言って目を閉じ、燃は手を何もないところに掲げた。

辺りの気の流れを読み、燃はそれを収束していった。

燃の手には黄色いオーラが纏い、渦巻いている。

掲げた手を燃は健一の頭に当てた。

「どうだ?分かったか?」

燃は目を開け、洋子のほうに向いた。

健一の傷はみるみるうちに治っていく。

「ん〜・・・なんかすごいって事しかわからないよ・・・」

洋子は真剣な顔で言った。

やはり相当難しいのだろう。

「う〜ん・・・どうすれば良いんだろうな・・・」

燃は健一の手当てをしながら言った。

「なあ、燃。」

突然健一が思いついたように口を開いた。

何かいい案が思い浮かんだのだろうか。

「何だ?」

燃は健一の治療をしながら言った。

「お前の収束スピードはおそらくものすごく速いんだと思う。だから、もう少しゆっくり収束してみたらどうだ?」

健一は燃の手に纏ってある気を見ながら言った。

つまり初心者にとって達人の気功は何がなんだか分からない、ということだ。

「なるほど!それは良い案だ。分かった、やってみよう。」

そう言うと燃は健一の治療を止めた。

健一の頭の傷はすっかり治り、もう出血はしていなかった。

今度はリンの近くにより、燃は再び手を掲げた。

燃はゆっくりと気の収束を始め、約5分ほどかけて気の収束を終えた。

「これでどうだ?」

リンの腹に手を当てながら燃は洋子のほうを向き、そう言った。

その燃の顔には汗がにじみ出ていた。

いつも早く収束していたことになれていた燃はゆっくりと収束するという行動は相当疲れたのだろう。

「なんとなく、雰囲気ならつかめた気がする・・・」

洋子は自信が無さそうに言った。

「じゃあ、俺が洋子の周りを気で覆い尽くすからまずはそれを読み取ってみてくれ。」

燃がそう言ってリンの腹から手を離すとリンの腹の傷はもう塞がっていた。

そして燃が自分の手に纏ってある気を膨張させて半径5メートルほど覆い尽す。

「なあ、燃って何者なんだ?」

健一はその光景を見て思わずリンに聞いた。

普通、こんなことをやれと言われてすぐにできるものだろうか。

「ん〜・・・簡単に言うと世界の救世主。」

リンはふざけながら言った。

「・・・なんだそりゃ?」

呆れたように健一が言った。

リンはゆっくりと燃に見とれている健一の後ろに回りこんだ。

「隙あり!!」

そう言ってリンは健一のわき腹に肘鉄を入れた。

「ぐはっ!!」

突然の攻撃に健一は抵抗できるはずも無く、健一は無抵抗で転がった。

「てめえ・・・卑怯だぞ・・・」

健一はわき腹を抱えながら言った。

「実戦で卑怯なんていってられないよ?ほら、立った立った。」

リンは笑顔のままそう言った。

「こ・・・これかな・・・?」

洋子は目をつぶりながら自信無さそうに何も無い場所に手を掲げた。

「そうだ!それだ!それを収束しろ。」

燃は微妙に興奮しながら言った。

「し・・・収束ってどうやるの!?」

洋子は慌てて聞く。

「辺りの空気が自分の手に回転しながら吸い込まれるように想像するんだ。」

ゆっくりと燃は分かりやすいようにいった。

洋子は言われたとおりにした。

気の流れのうちの1束が洋子の手の内に納まり、洋子の手は薄い黄色いオーラを纏った。

「よし!!よくやった!!こんなに早くできるとは思わなかったぞ?」

「う・・・うん。・・・わ・・・私出来たの・・・?」

洋子も自分自身で驚いているようだ。

「ああ、ちゃんと収束も出来た。お前、これはすごいぞ。」

そう言った燃の顔には感心の表情と共に何やら考え事をするような複雑な表情が見られた。

「や・・・やったあ!!」

洋子はそんな燃の表情を見ようともせず、ただ喜びの声をあげた。

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