第19話 ムカデ
「ん・・・」
健一は気持ち良さそうに目をゆっくりと開けた。
目の前は黄色い光で包まれていた。
「俺は・・・確か地面に叩きつけられて・・・」
健一はそう呟いた瞬間、勢いよく起きた。
「痛う・・・」
健一は体のあちこちが痛み、顔をしかめた。
「よお、起きたか?」
隣を見ると手に気を纏わし、座り込んでいる燃の姿があった。
「まだあんまり動かない方がいいぞ。完全には治りきってないから。」
燃はそう言って健一の腹部に、気を纏わした手を優しく当てた。
「治療まで出来るのか・・・」
健一は目を丸くしていった。
「はは・・・まあな。」
燃は苦笑いをして言った。
「ええ!?じゃあ、燃は健一君の傷を治そうとしてたの!?」
真実を聞かされた洋子は驚いたように言った。
「うん。そうだよ。」
リンはあっさりと頷いた。
「何で最初に言ってくれなかったの!?私、燃に酷いこと言っちゃったじゃん・・・」
洋子は落ち込んだように言った。
「だって洋子さんパニックに陥っていたんだもん。あそこで真実を言っても止めるとは思えなかったよ?」
「う・・・確かに・・・」
洋子はパニックになっていた自分を思い浮かべて赤面した。
「燃に悪いことしちゃったかも・・・」
洋子はばつの悪そうな顔をした。
「まあ、大丈夫だよ。燃はそういうこと気にしないし。」
リンは笑いながら言った。
その瞬間、地面が大きく盛り上がった。
リンは後ろに大きく跳びず去った。
「しまった!!避けて、洋子さん!!」
リンは洋子に向かって叫んだ。
「え!?」
洋子は何がなんだか分からないようだ。
洋子の下から幅が約3メートルほどの大きなムカデのような生き物が出てきた。
「きゃああああ!!」
洋子は下から5メートルほどの高さまで吹き飛ばされた。
洋子が地面に叩きつけられる瞬間、黒い翼を生やした健一が間一髪で洋子を助けた。
「大丈夫か?」
健一は洋子を抱きかかえたまま言った。
「う・・・うん。・・・ありがとう。」
洋子は顔を赤らめながら言った。
「何だ、あれは?少し大きくないか?」
後ろから燃の声がし、リンは振り返った。
「確かにね・・・突然変異かな・・・?」
リンは大きなムカデを見ながら言った。
「それより・・・ほら、レーザーガン忘れてったぞ。」
燃はそう言って近未来の映画で出てくるようなレーザーガンを二つリンに向かって放り投げた。
「ありがとう。」
リンは片方ずつそれぞれの手で取った。
「倒せるか、あれ?」
燃はムカデを見ながら言った。
「・・・余裕だね。」
リンはそう言って笑みを浮かべた。
「そうか。じゃあ、行って来い。」
「了解!」
リンはそう言ってムカデの方向に走っていった。