第17話 決闘
既にあたりは暗くなり、校舎に潜んでいた燃と健一と洋子とリンは校舎の中から校庭に出た。
燃は準備運動をし始めた。
「なあ、燃ってけんかとか強かったか?」
健一は洋子に向かって話し掛けた。
「う〜ん・・・どっちかというと小さい頃は負けるほうが多かったかな・・・?」
洋子は記憶を探るようにして話した。
「大きくなってからは?」
「大きくなってからは全然けんかしなくなったね・・・」
「そうか・・・」
健一は燃に視線を戻しながら言った。
「よしっ!」
燃は戦闘の構えを取った。
健一も戦闘の構えを取る。
「さあ、来い!」
燃がそう言うと同時に健一は殴りかかった。
健一の拳は燃の顔面に入り、燃は5メートルほど飛んだ。
「なっ!?」
殴った本人の健一が驚き、声をあげた。
燃はそのまま動かない。
「・・・・・・起きろよ。まだ気絶して無いだろ?そんなんで気絶するほど弱くはねえはずだ。」
健一は怒っているのか、肩を震わせながら言った。
燃は倒れたままだ。
「舐めるのも対外にしろ!そのまま動かないなら死ぬだけだぞ!」
健一はそう言って右手を剣に変え、燃が倒れているところへ走っていった。
「はあ!!」
健一は気合を入れる声とともに剣を燃目掛けて振り下ろした。
剣は燃に当たらず、地面に刺さった。
「なっ!?」
健一はかつては燃のいた場所に刺さっている自分の右腕を見ながら驚きの声をあげた。
「すごい力だな・・・」
健一のすぐ後ろから燃の声がした。
「くっ!」
健一は振り向きざまに剣にしてある右手を振るったが、右手は空を切った。
燃は健一のはるか上に飛び上がっていたのだ。
燃は飛んだままの状態で健一の顎を蹴り上げた。
「がはっ!」
健一の体は仰け反り、宙に浮いた。
燃は地面に降り立ち、すぐに地面を蹴り、健一の所へ突っ込んでいった。
「ね・・・燃ってあんなに強かったの?」
洋子は隣にいたリンに聞いた。
「燃は強いよ。」
リンは洋子の問いに簡潔に答えた。
「へえ・・・燃も変わったねえ・・・」
洋子は燃を見て感心しながら言った。
「こっち!」
リンは突然叫んで洋子の腕を思い切り引っ張った。
「え?わっ!!」
洋子はいきなり引っ張られたので前につんのめった。
そのすぐ後で洋子がもともといた場所に健一はすっ飛んできた。
豪快な音を立てて健一は体で壁を破壊した。
「随分タフだな・・・」
洋子のすぐ後ろで燃の声がした。
「ね・・・燃!?ちょっとやりすぎじゃない?」
洋子は健一と燃を交互に見ながら、慌てたように言った。
「だって手加減すると、健一怒るぞ?」
燃は瓦礫の山を見ながら言った。
「ほう・・・だったらいつ本気を見せてくれるんだ?」
声のした方向を見るといつの間にか起き上がった傷だらけの健一がいた。
「・・・何のことだ?」
燃は少しだけ動揺を見せた。
「まだ本気じゃないだろ。なんとなくお前を見ているとまだ余裕がある。いい加減本気を出したらどうだ?」
健一は燃の目を見据えていった。
「・・・・・・・・・分かった。」
燃は観念したように言った。
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