表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  作者: 水野 すいま
10/124

第10話 質問

「次は秋葉原竜太だな。」

健一は洋子を下ろして言った。

「あれ?もう良平君はいいの?」

洋子が尋ねた。

「ああ、やつは白だ。」

「白?」

洋子は健一の言い方に疑問を抱いた。

「あ・・・いや、疑う余地が無いってことだ。」

健一は慌てて言い直した。

「ふ〜ん・・・」

洋子は疑った目つきで健一の事を見ていた。

「さ・・・さあ、行こう。」

健一はそう言って竜太の家へ向かった。

「そういえば、どうして家が分かるの?」

洋子は不思議そうに聞いた。

「担任からかっぱらった。」

健一はそう言って生徒の住所録を出した。

「・・・いいの?それ・・・」

洋子は呆れた目で言った。

「まあ、あの先生なら気づかねえだろう。」

「まあ・・・ね・・・」

洋子はさらに呆れた目で見た。

二人はこんな会話をしながら竜太の家へ向かった。

「・・・小屋?」

洋子は健一に聞いた。

「まあ、小屋だろう・・・」

二人が着いたのは竹林に囲まれている小さな小屋だった。

「まあ、とりあえず入ってみるか・・・」

健一はノブをひねりドアを引いた。

意外にもカギもかかっておらず、すぐに空いてしまった。

「無用心だな・・・」

健一が呟いた。

「確かに・・・」

洋子も頷いた。

中には誰も居なかった。

健一は早速、家をあさりだした。

「おい!」

探し始めて30分後、健一が洋子を呼んだ。

「何?」

洋子は振り返りながら言った。

「そのその女の子ってこいつか?」

健一はそう言って髪の長い13歳くらいの可愛い女の子が写っている写真を洋子に見せた。

「そうそう。その子だよ。」

洋子が頷いた。

「荒木燃とそいつ含めて5人写っているな。」

「あ、この人大蔵君だ。」

洋子は5人の中の大きな体をした人物を指差した。

「大蔵?」

「うん。大蔵達也君。まあ、燃の親友みたいなものかな?」

洋子は思い出すように言った。

「ほう、こいつは?」

健一はそう言って医者が着る白衣を着てタバコをすっている男を指差した。

「えーと・・・確か大蔵君のお父さんだったかな・・・?」

洋子は自信なさ気に言った。

「へえ・・・こいつは?」

健一は普通の男を指差した。

「その人は・・・知らないなあ・・・」

洋子は首をかしげながら言った。

「人の家で何やってるんだ?」

健一と洋子は後ろから声がし、振り返った。

そこには息を切らした、秋葉原竜太が居た。

「よお、秋葉原・・・いや、荒木燃か?」

健一は微笑を浮かべながら言った。

「?・・・何のことだ?」

竜太は訳が分からないといったように言った。

「ふん、とぼけるか。だが、これを見てもそんなことを言ってられるか?」

健一はそう言って先ほどの写真を竜太に見せた。

「ああ、燃の写真か・・・」

竜太は意外にも落ち着いて言った。

「燃のって・・・お前、荒木燃じゃ無いのか?」

「ああ、その写真は燃がうちに来た時に置いていった物だ。俺は燃の知り合いだ。・・・で?俺に何のようだ?」

竜太は健一に聞いた。

「そうだなあ・・・じゃあ、まず、荒木燃は生きているのか?」

「ああ、生きてる。」

竜太ははっきりと答えた。

「じゃあ、その居場所は?」

「それは教えられないな。」

竜太は笑いながら言った。

「何でだ?」

「口止めされてるから。」

竜太は健一の質問に簡単に答えた。

「そうか。ならばここに用は無い。」

健一はそう言って竜太に背を向けた。

「ち・・・ちょっと待ってよ健一君。」

「なんだよ?」

健一は洋子のほうに振り向いた。

「なんだよって・・・もっと燃のこと聞かないの?せっかく知っている人が居たのに・・・」

「だって、こいつは荒木燃のことに関しては何も答えないぜ。」

健一は親指で竜太のことを指差しながら言った。

「ああ。」

竜太は頷いた。

「なんで?」

洋子は不思議そうに言った。

「口止めされてるから。」

竜太は簡潔に答えた。

「うう・・・」

洋子は竜太を睨みつけた。

「そんなに睨まないでくれよ。」

竜太は笑いながら言った。

「ほら、行くぞ!」

健一は洋子の襟をつかみ、引きずっていった。

「わっ、なっ、ちょっと何?」

洋子は引きずられながら叫んだ。

「ほんじゃあ、お邪魔しました。」

健一は竜太を見ながら、そう言って小屋から出た。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ