第1話 4人の転入生
僕の書いた小説『エネルギーの使い手』の続編です。
まだまだ未熟ですがよろしくお願いします。
未熟なので色々助言してくださるとありがたいです。
「そうそう、そういえばあの事件ってどうなったの?」
「あの事件って?」
「ほら、1年前の世界各地のいくつかの町の人間が全員心臓麻痺で死んじゃったってやつ。」
何人かの女子高生が下校途中でそんなことを話していた。
「ん〜?何か謎に包まれてそのまんまになってるよね?」
「宇宙人の侵略かな?」
「あははっ。本当にそうだったら、誰かが撃退したのかな?」
「それって正義のヒーローってやつ?本当にそんなの居るのかなあ?」
「居るわけ無いでしょ!まったくあんたっていっつもそういうの信じるよね。」
女子高生のそんな会話を聞きながら、荒木燃は一人街中を歩いていた。
「なあ、知ってるか?今日、転入生が来るらしいぜ。」
草原高校の高校2年1組のクラスの一人がそんなことを言った。
「転入生?へえ、男?女?」
調子の良さそうな男子が体ごと乗り出してきた。
「いや、それは分かんねえけど・・・なんでも4人も来るらしいぜ。」
「4人!?それっておかしくねえか?」
その調子の良さそうなやつは驚き、声をあげた。
「いや、でも本当なんだって。しかも、このクラスに4人とも来るらしいぞ。」
「はあ?何でだよ・・・意味分かんねえぞ?」
「そりゃあ、あれだろ。成績が悪いか、性格的に問題ありなんだろ・・・このSB(すごく馬鹿)クラスに来るんだから。」
クラスの皆がそんなことを話しているとき、教室に一人の先生が入ってきた。
「ほら、お前ら席に着け。」
いかにもやる気の無さそうな声である。
「まずお前らに4人の仲間が出来た。・・・つまり転入生だ。」
「先生、何で4人も入ってきたんですか?」
一人の男子生徒が声をあげた。
「いや・・・それがさ、俺が職員会議で寝てたら勝手に決められちゃってよ・・・」
どうやらSBクラスは先生にも問題ありのようだ。
「まあ、そんなことはどうでも良いだろう。とりあえず・・・ほら、お前らも入って来い!」
その先生が手招きした。
その4人が教室に入ってきた。
最初に入ってきたのはあまり目立たなさそうな雰囲気の暗い男だった。
二番目に入ってきたのは活発で後ろで髪を縛っている元気の良さそうなかなり可愛い女の子、三番目は調子の良さそうなそれほど身長の高くない男の子であった。
そして四番目に入ってきたのはいかにも柄の悪そうな髪の毛が立っている男子であった。
最初に入ってきた男の子が自己紹介をし始めた。
「始めまして・・・倉田信吾と申します。この学校には家庭の事情で転校してきました・・・これからよろしくお願いします。」
倉田信吾は見たとおりの、つまり暗い喋り方で自己紹介を簡単に済ました。
皆もあまり興味を持たなかったようだ。
次に活発そうな女の子が真ん中に出てきた。
「どうもこんにちは。私の名前は渡辺洋子といいます。特技は運動全般。苦手なものは勉強全般。基本的に学校は好きなので皆さんとも上手くやっていけたら良いなあと思っています。こんな私ですが、これからよろしくお願いします。」
ぺこりと頭を下げて洋子は明るく簡単に自己紹介を済ました。
次に調子の良さそうな男の子が真ん中に出てきた。
「どうもはじめまして。俺の名前は秋葉原竜太と申します。特技はすばやくフィギュアを買うこと・・・ではありません。どうも名前からしてオタクだと思われがちですがそんなことはありません。れっきとした健全な男子です。そして好きな食べ物は・・・」
このあと竜太の話は10分ほど続いた。
だが、皆も竜太の話がおもしろいので楽しんでいたようだ。
次に柄の悪そうな男の子が出てきた。
「始めまして。俺の名前は金田健一。突然だが皆に頼みがある。」
健一はみんなの顔を見回した。
「まず一つ目は1年前に起こった事件の被害者の中の一人、荒木燃について。こいつのことを知っているやつが居たら後で俺に教えてくれ。」
みんなの中でざわめきが起こった。
「次にエネルギーの使い手、これについて知っているやつも俺に後で教えてくれ。以上で終わりにする。」
そう言って健一は後ろに下がった。
健一が話し終わるとクラスが静まり返っていた。
「ま・・・まあ、とりあえず今の4人は後ろに席が4つ用意されているから順番どうりに座ってくれ。」
担任がその雰囲気を打ち破った。
4人は担任に言われたとおりに座った。
「お隣だね。よろしく。」
洋子が暗そうな男、信吾に小声でそう話し掛けると信吾はそっぽ向いた。
洋子が不審そうな顔をしていると隣から声を掛けられた。
「あいつ、かなり暗くて人見知りもかなり激しいみたいだよ。」
竜太が囁くようにして言った。
「そうなんだ・・・」
洋子は信吾を見ながら言った。
「朝に言っとくことはこれくらいだから、これでホームルームを終わりにするぞ。」
そう言って担任はダルそうに教室を出て行った。
担任が教室を出て行くのを見送ると洋子は席を立ち、机の上で頬杖をついている健一の前へ行った。
「ねえ、私、荒木燃のこと知ってるけど、聞きたい?」
洋子は微笑みながら健一に向かって言った。