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時と世界を越えた魔法剣士  作者: 甘党代表
最強の魔法剣士
5/14

普段温厚なやつほどキレると怖い

今回は不幸度低いですね。

酷い目にあわせたいなぁw

 2頭の馬がひく馬車が、街道をのんびりと進んでいく。街道とは言ってもちゃんと整備されているわけじゃなく、馬車などに踏み固められて出来た道なのだけれど。


 その周りでは、3人の魔導師風の人影が、馬車を守るように配置されている。女が1人に男が2人だ。




「……なんで魔導師しか雇わなかったんだろう?」


「はっはっは、リツさんそれはですね!積荷を交代で冷却してもらうためですよ!一人が冷却、残りが護衛という具合にですね!」




 荷台で積荷に冷気を送りながら一人ごちると、御者をしているでっぷりと太った男から返事が来た。このエクスクラメーションマーク(!)がやたらと多いオッサンが、今回の依頼人であるマーカスさんだ。


 それにしても、そんなに単純な話なのか?普通護衛といったら、前衛と法術士は必須だろうに。


 それを聞くと、オッサンはあごの肉を震わせ、悲しそうに目を伏せた。




「………………お金がないんです」




 そうですか。






 *****






 1日の行程が終わった。今は街道の隅で野営の準備中である。




「それでよー!その盗賊に俺は言ったんだ!『やめろ、俺の火球が火を噴くぜ』……ってな!」


「ふーん」


「あ、あとこんな話もあるぜ!あれは今から2年前のことだったか……(ry」




 野菜を刻んだり、スープに味付けしたりしながら、横のバカの話を聞き流す。隣の男はリッキー。なんだか僕に突然自分の武勇伝を語りだし、迷惑極まりないことに分担された役割をこなしていない。そのため、なぜか僕がコイツの分までやっているのだ。


 あー、なんかかなりムカついてきた。でも我慢我慢、あまり実力見せるようなこと、できないからね。


 容姿は伝わっている蒼空の魔剣士(笑)そのまんまだし、魔法もなんだか強力になってるし。それに「シルヴァリオン」はまんま伝承の魔剣だから、絶対に人前では使えない。


 すっごく……フラストレーションが溜まります。




「ちょっと、そこの!あんた役割ロールもやらずに何やってんのよ!!」


「ちっ……うるせー女が来やがった」


「あんたねーっ!!」




 そのまま横でギャイギャイと怒鳴りあう2人。いい加減にしてほしいです。


 後から来た女の子はシルヴィア。なんでも王立なんちゃら魔法学院の生徒なのだとか。いいねぇ学生、青春ですわ。


 緋色のふわふわした髪を肩口で切りそろえてあり、ちょっと釣り目でキツイ印象だが美少女である。小柄で運動神経もまるでないが、魔法には自信がある……らしい。




「もー、あんたからも何とか言ってやんなさいよ!!」




 はい、僕も巻き込まれましたー。




「あー、っと。別に僕がやっておくからいいんだけど?」


「おぉ!さすが俺様の一の子分!分かってるじゃねえか!!」


「甘やかさないの!第一、あたしだって自分の役割こなしてるのに、不公平じゃない!!」


「……じゃあ、そっちも僕がやるよ」


「え……?いや、悪いわよ!!」


「けっ、結局てめぇも同じじゃねえか」


「あ、あんですってえぇぇ!?」




 その声を無視して、黙々と作業をこなす。料理の下ごしらえはできたし、あとはシルヴィアの役割かな。


 なんかこの面子だと、分担するより1人でやったほうがはかどるや。


 シルヴィアの役割は、簡易テントの設置。女の子1人でこれをするのは大変だろう。まぁ、彼女が料理できないというから、こうなったわけだが。


 シルヴィアはすでに1つ建てていたらしく、残りは後2つになっていた。男が2人ずつ入り、女が1つを使うという振り分けだ。


 もう1人の魔導師はかなりの高齢で、ときどき「こいつ死んでるんじゃねぇ?」って感じに活動停止することがある。今は休眠モードのようだ。マーカスのオッサン?あの体型でできるとでも?




「ほいっ、ほいっと」




 と、つらつらと考え事をしている間にテント設営完了。ライトたちと旅してたときも、ずっとやってきたことだからすぐに終わった。体に染み付いた習慣ってすごいよね。




「ごめんごめん、手伝いに来たよー……って、早!?」


「あぁ、ごめん。終わらせちゃったよ」


「す、すごいわね……そんな細い体でどうやって……?」




 あぁ、そういえば。漫画みたいな身体能力を強化する魔法なんて、この世界には存在しない。魔力を体内で無理に循環させようとしたりすると、体中の血管が破裂してしまうのである。僕もミュールに「身体能力を強化する魔法ってないのー?」って聞いてみたんだが、「横着せずに努力しなさい」ってビシリと言われたんだよね。


 それからみんなで食事をして、早めに就寝。明日は早いから、休んどくべきだそうな。


 で、周りの連中は見張りなんて出来そうにないから、僕が名乗り出る。シルヴィアがあわてて休んでていいとか言い出したけれど、丁重にお断りした。


 もともと3日3晩無休で働けるぐらいの体力はあるし、そもそも会ったばかりで実力を信用できない、緊張感の無い連中に見張りなんて任せたくない。


 べっ、別にみんなのためを思ってなんて、そんなんじゃないんだからね!!






 *****






 …………………?


 ……お。




「おい兄ちゃん。その後ろの馬車の中身よこsh」




 ぐしゃっ。




「「ぼっ……ボオオォォブ!!」」


「あ、ごめん。なんか反射的に」


「て、てめえふざけやがって!!」


「ボブの仇だこの野朗!!」




 夜盗ぽいのが3人、野営地を訪ねてきた。そのうちの1人を『アイシクルダガー』という氷の刃を飛ばす魔法で殺害。


 それにしても雑魚キャラ臭がプンプンするなぁ、こいつら。向かってくる2人に蹴りを食らわし、距離をとる。


 うん、いいストレス発散になりそうだ。




「覚悟しなよ……今の僕は、ちょっと機嫌が悪いんだ」




 慣れてるって言っても眠いんだよチクショウ!!

実力発揮できないって、イライラしてきますよね?

護衛任務中、リツくんは常に力をセーブしてました。

だから護衛チームメンバーからの評価は、弱くも強くもない奴ですw

次回、早々に実力バレ……か?

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