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魔法学校の後輩に堕とされそう  作者: ほかほかいろ
18/19

このままがいい。


 部内の雰囲気は最高だった。初心者の子達もだんだん様になり、質問されたり、指導求められたりする。

月華ちゃんは少し不満そうだった。

大丈夫、浮気しないよって目で訴えかける。


水を飲むの事も、時間が経つ事も、頭から抜け落ちていた。


私の体も思ったように動く。月華ちゃんとも、上手くいっている。

「今ならもっと、もっと強くなれる。」


時計を見るたび、時間が止まって欲しかった。

こんな部活がずっと続けばいい。

「先輩、楽しそうですね。」

「うん。凄く楽しいよ。」

「月華ちゃんも楽しいでしょ。」

「……はい。」


 全員が一つになった。疑う理由も無く、そう感じるほどに、今は全てが光って見えた。



 ここ2週間は、質の高い練習が続き、部として大きく成長している実感があった。


雨の音をかき消すような、大きな音で扉が開く。

「来週の土曜日に練習試合が決定した。場所はここ。」


「新入生はまだ慣れてないと思うが、

早く慣れるように頑張って欲しいと思う。」

久々に顧問が来たと思ったら、

なんとも嬉しい報告だった。


部でやる模擬戦とは訳が違う。

勝ち負けがちゃんと出る戦い。

身体中の神経が研ぎ澄まされるような、高揚感。

これだよ。これ。これを求めてた。


「先生待ってましたよ。」

思わず笑みが溢れる。

周りを見る事も、月華ちゃんを見る事もできないほどに、自分に酔っていた。


「それは良かった。無理せず頑張ってくれ。」

「「はい。」」



「部長傘壊れたの?」

「ああ、そうみたいだ。」

「月華、私入れてくれる?」

「もちろんですよ。」

「うん、じゃあこれ使って。

私は月華に入れてもらうから。」

急な呼び捨てはずるい。

「じゃあありがたく使わせてもらうよ。」



なんでだろう。

先輩と距離があるわけでもない。

部活も順調。

先輩と相合傘で帰ってる。


嬉しいはずなのに、胸が苦しい。


「月華ちゃん。来週楽しみだよね。」

先輩は前を見たまま、私に言う。

私は先輩を見て、答える。

「そう……ですね。」

でも離れたくなくて、思った事とは違う言葉が出る。


私も練習は楽しい。

先輩はすぐ横にいる。

なのに最近私の事を見てくれない。

どうして、そんなに戦う事が好きなんですか。


「先輩の力になれるように頑張ります。」

また私は思ってる事と違う言葉が出る。

「月華ちゃんが、そう言ってくれるなら安心だね。」

先輩の期待が私の逃げ道を塞ぐ。


もう少しで寮に着く時、車が勢い良く通る。

水溜まりが一気に降りかかるのに気づいて、先輩の手を引く。でも先輩はすでに防御魔法を展開していた。

「危ないね。」

前しか見てないはずなのに。

先輩にどこか置いて行かれた気分になる。


私が引っ張ったせいか、すぐ横にくっついてて。

今はただ、この距離でいいと思った。



 傘が狭いせいか、肩が少し濡れる。月華の方を見ると、同じくらい肩が濡れていた。


練習試合前に風邪をひくのは、ごめんだ。


「帰ったら一緒にお風呂に入ろう。」


それなら2人ともすぐ温まれる。



 私は湯船に浸かりながら練習試合の事を考える。

対戦相手はどこの高校なんだろ。

どんな戦略を取ってくるのかな。

逆にこっちはどんな戦略で行こう。

新入生が3人だから、難しいのできないし。

それに、試したい。無詠唱攻撃魔法。

今まで頭の中で考えるだけだった。

自主練は散々やってきた。


「先輩そろそろ出ないと、のぼせますよ。」

「うん……出ようか。」


今いいところだったのに。


お風呂から出て、夕飯を食べ、ベッドに入る。

私は思ってる以上に疲れていたのか、すぐ眠りに落ちる。


「私の事、本当に好きなのかな。」

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