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魔法学校の後輩に堕とされそう  作者: ほかほかいろ
17/19

今は考えない。




 月華ちゃんとお家デートすることにした。

何をしたらいいかなんて、何もわからない。

今日は、ずっと二人でいたい。

それより先のことは、今は考えなかった。


 月華ちゃんは、朝は毎日パンを食べる。

隣で、私も真似してパンを食べる。

食べるのが早くて、リスみたいで、月華ちゃんだなって。

心があったかくなる。



「お家デートって、何するの?」

月華ちゃんがお皿を洗ってくれているのを、後ろから抱きしめながら聞く。

「多分、こんな感じじゃないですかね」

「じゃあ、私、お家デートの才能あるかも」

「先輩、動きづらいですよ」

月華ちゃんはそう言うけど、声が笑っていて、私は抱きしめる手をさらに固める。



「今日は、月華って呼び捨てにしたい」

「全然、今日だけじゃなくてもいいですよ?」

「ううん、恥ずかしいから、今日だけ」

「月華も、ひなでいいからね」

「ひ……ひな、好きだよ」


 顔を赤くして、こちらをうかがう様子が、あまりにも可愛くて、思わず抱きしめる。

「月華、大好き」

お家デート、最高かもしれない。



 私は、ここ数日の距離を埋めるみたいに、ずっとくっついて、布団を洗濯したり、掃除したりした。

あっという間に時間が経つ。


「お昼ご飯は、私が作るね」

「私も、何か手伝います」

「大丈夫だよ。昨日、色々してくれたお礼」

「月華は、座って待ってて」


 昨日のお礼と、私の愛情を込めて、一生懸命ご飯を作る。

冷蔵庫には、余ったにんじんとじゃがいも、鶏胸肉くらいしかなかった。

二人分なら、カレーが作れるかな。


「ふんふん。上出来」

バターチキンカレーを作った。

味見の結果は、大満足だ。


「月華、お待たせ」

「すごい。美味しそう」


 月華ちゃんは、ご飯もカレーも、パクパク食べてくれる。

何回も「美味しい」って言ってくれる。

それが、すごく幸せで、嬉しかった。



 ご飯も食べ終わって、やることがなくなった私たちは、スマホで映画を見ることにした。


「これとか、なかなか面白そう」

「時間もありますし、とりあえず見てみますか」


 テレビがないとはいえ、小さい画面を共有してみると、距離が自然と縮まる。

気がつけば、ほとんどくっついている。

エアコンもついているのに、なんだか暑い。


「この人、なんか怪しくないですか?」

「なんか、犯人な気がするよね」


 画面の音より、月華ちゃんの呼吸が近くて、

私の心臓がうるさくて、

ほとんど内容に集中できていなかった。


「映画、面白くないですか?」

月華ちゃんは、優しい目で私を見る。

「ううん、ぼーっとしちゃってた。ごめんね」


 こんなに近いと、月華ちゃんに触れたくなる。

どこに触れたいのかは、考えないようにする。

この時間を壊したくなくて、結局、そのままだった。



 あれから数日。

先輩の距離は、ずっと近くなった。

でも、触れてくることはなかった。


 あの日は、先輩が風邪をひいた直後だったから、私も我慢していた。

でも、もう何日も経っている……


 部活は楽しい。

先輩が楽しそうにしているから。

でも、チーム練習の時、先輩はどこか遠くを見ている。


 先輩が、そういう性格だって分かっている。

先輩は、変わっていない。


 それなのに。


 近づいたはずの距離が、

練習の時だけ、遠く感じられた。



 




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