弱くていい場所。
私は興奮が冷めないままだった。
「月華ちゃん。私できた。できたんだよ。」
さっきまで嫌になるくらい考えて居たのに、考える間も無く思い切り近づき、手を握る。
月華ちゃんは驚いていた。
私が無意識的に距離を取ってたからなのかな。
後悔しそうになった時、月華ちゃんが手を握り返してくれた。月華ちゃんと今、同じ気持ちになれた気がした。
「先輩、なんか手が熱いです。」
心配そうな顔をされて私はハッとする。そういえば右手に熱が籠った感覚がある。慌てて手を離す。
「ごめん月華ちゃん。」
「先輩、熱あるんじゃないですか?」
月華ちゃんは急いで体温計を取りに行き、私に手渡す。
熱を測ると本当にある。まいったな。
月華ちゃんに寝かしつけられ、お粥を作ってくれる。優しさが私に染み込んでくる。
私はこんなにも弱いのに月華ちゃんは優しさで私の弱さを包み込んでくれる。
先輩だけど月華ちゃんを頼る事にする。
「ごめんね……月華ちゃん。いつも迷惑かけて。」
「迷惑なんかじゃないですよ。」
「でも、もう無理しないでくださいね。」
心配されるのもなんだか嬉しくて、私はどんどん弱くなるのに、それがなんだか心地良かった。
やっと先輩から話しかけてくれたと思ったら、熱があるし、この人は私の感情を揺さぶる天才だと思う。
「おかゆ食べてください。」
スプーンで一口取りふーふーと熱を覚ます。そのまま先輩の方に向ける。
「自分で食べれるよ。熱も微熱くらいだし。」
そのくらい分かってるけど。
私も先輩の熱を感じたかった。
黙って口の前に運ぶ。
パクッと食べる。
熱なのか、照れてるのか分からないけど、先輩はすごく赤くなっていた。そんな先輩が可愛くて思わず手が伸びそうになり、慌てて手を引っ込めた。
こんなに近くにいるのは凄く久々な気がする。いつもと変わらないベッドの距離。先輩の事は心配なはずなのに、なぜか安心してすぐに眠りに落ちた。
目を覚ました時、先輩の呼吸がすぐそばにあって、少しだけ驚いた。
「おはようございます。」
「もう大丈夫なんですか?」
「元気100倍だよ。」ニコっと笑う。
朝から先輩は元気で、少し安心する。
でも……なんだか距離近い。昨日までとはまるで違う。
昨日まで距離取られてたのはなんだったんだろう。
「先輩近い。」本当に近い。今にもくっつきそうだ。
「近くに居たいからね。」
私は朝から熱くなる。先輩のが遷ったのかもしれない。
少し考えるようにして、私の顔を覗き込んでくる。
「月華ちゃん、デート行こうよ。」
私は行きましょうって言うのを必死に堪える。
「病み上がりなんですから安静にしてください。」
「はぁ」
ため息が溢れる。私だってデートに行きたい。でも先輩の熱がぶり返したら、一緒に学校に行けない。それは凄く嫌だった。
「そんなに呆れなくても良いのに。
じゃあお家デートしよ。」




