私の魔法。
私はあれから魔法の練習に力を入れてる。
ここ数日は何だかとても居心地が悪くて、あまり思い出したくない。
「珍しく調子悪そうだね。」
「部長……」実際調子が悪い。
「少し休んだ方がいいんじゃないか?」
「いや、もう少し練習して行くよ。」
前はもう少しで何かを掴めそうな気がしたのだ。
「無理してるだろ。魔法を見たら分かる。」
「……分かってる。」
こんな私は見て欲しくなかった。
「何だか陽奈先輩も人間なんだね。」
「そうだよ。」
先輩の弱いところは、私だけが知ってれば良いのに……
「でも月華もなんか変だよ。なんかあったの?」
「まぁちょっとね。」
中学から同じだと私が平気なフリしてるのも、
分かるらしい。
「私たちも練習しよ。試験もうすぐでしょ?」
気を紛らわせるように練習を始める。
「私はこのあとトレーニングルームに行くから、
月華ちゃんは先に帰ってて。」
「先輩。流石に無理しすぎですよ。」
「ごめん……でも、今年で最後だから。」
何も言えないって、分かって言った。
去年も一昨年も見てるのだから。
「私は待ってますよ。いつでも。」
月華ちゃんは泣きそうな顔で見つめてくる。
心臓をギュッと掴まれたような痛みが押し寄せる。
私も何も言えなくなって、そのまま向かう。
「はぁー」
ここ数日は、月華ちゃんは普段通りでなんだかそれもモヤモヤする。
そんな事を考えながら、攻撃魔法の詠唱をする。
やはり詠唱した攻撃魔法でも、そこまでの威力にならない。それでも何回でも繰り返す。
私は考える。今年は優勝する方法を。
無理なんじゃないか。
勝てる訳がない。
そんな風に頭の中の自分に言われる。
去年みたいな状況で、1人で切り抜けるイメージが湧かなかった。
四方八方を塞がれ、大人数による圧倒的な攻撃回数。
月華ちゃんがいる日常みたいだ。
苦しい状況を全部解決してくれる。
夢のような魔法が欲しい。
もしもあの時月華ちゃんが居たら、なんて意味のないことを考える。
廃部寸前の時月華ちゃんが助けてくれたのを、
思い出したからだ。
「大丈夫ですよ。一緒に何とかしましょう。」
なんて言ってくれそうな気がする。
何だか凄く安心して。
気が緩む。気がつけば月華ちゃんと一緒にいる気分だった。離れているのに何だか近くに感じた。
月華ちゃんのことを考えると、どうにも集中できない。
……いや、逆かもしれないな。
「あれ……今詠唱してない。」
まさかと思って無詠唱で攻撃魔法を使うイメージをした。
勢いよく魔力を込める。
どんどん温度が上がり。火の玉ができる。
魔力を使って周囲の酸素を集め火を大きくする。
そのまま的に向かって放つ。
「できた。できた。できた。」
私は気がつけば、寮への道を走っていた。
トレーニングルームには大きな音と、熱が残った。




