門限は大事。
必死になって逃げる。本当に鬱陶しい体を触ろうとしてくるのも気持ちが悪い。月華ちゃんとは全然違う。今が大会だったら。怪我をするまでボコボコにする。魔力で空気抵抗を抑えつつ、体を軽くし、靴の摩擦をあげ、速度を上げる。
商店街を半周したあたりで2人千切れた。あと2人。どうしてそこまでするのかが謎だ。対して好きでもない人に必死になって追いかけて。まあ月華ちゃん可愛いもんね。私を脅しの道具にして月華ちゃんに会いたいのだろう。「余計ムカつく。」
ちょうど良いところに犬のフンが落ちてる。魔力だけで持ち上げではあはあ走ってる口元に投げ込む。ナイスシュートだ。
「捕まえた。」私を拘束するように鎖ができる。変に反撃しようとしたせいで隙ができたらしい。
「ずいぶん逃げ回ってくれたな。」グッと鎖を締めてくる。
「ここまでしたらさ。正当防衛になるかな。大会には大丈夫だよね。カメラに多分写ってる。」
「何言ってるんだ?ただのこういうプレイだ周りの判断より当事者の発言が大事だろう。一度はついて来たんだしな。」悪い笑みを浮かべてるけど当事者は1人じゃない月華ちゃんがいる。
「私は自分を守るために攻撃魔法を使う。やめるなら早くしてくれる?」やめる気配がないので、まずは鎖を切る。
「は?どうやって?」筋肉を固定したら魔法が出せないと思ってるらしい。他の人と私は違う。
「私は体の周囲50cmからなら魔法が出せる。私の事知ってるのにそんな事も知らないんだね。」
「分かった。降参するから辞めてくれ頼む。」
最初に話を聞かなかったのはそっちだ。でも降参してる人相手に攻撃魔法を使ったら正当防衛と言えるだろうか。
何もせずに帰るのはなんだか納得ができなかった。さっき犬のフンを食べさせた人が近くにいるのを思い出した。
「許してくれるのか。」私が少し離れた事で期待したのか歓喜の声を上げる。そんなわけ無いのに。
さっきの人を魔力で無理矢理持ち上げ連れてくる。酷い匂いがする。
「キスってした事ある?とってもね気持ちがいいんだよ」
私を拘束した馬鹿野郎とフン野郎の2人をを無理矢理キスさせた。そして、魔力の性質変化で接着剤のようにくっつかせる。
2人が大きく暴れるのを見て、私は大いに満足した。
商店街を丸々一周したのかだいぶ店も閉まり始めている。これは門限無理そうだと苦笑する。
月華ちゃん心配してるかもだし、早く帰ろう。徒歩で大体20分ほど。全速力なら2分くらいで帰れるはずだ。
もう少しで寮というところで目の前に人影が現れる。
止まる事には成功したが転んでしまいそうになる。
「ひな君は本当危なっかしいな。」転びそうな私を腕で受け止める。
「菜月先輩?なんでここに。」
「月華から連絡があったんだよ。泣きながら。」
「そうなんです、早く帰らないと。」
私が急いで帰ろうとすると肩を掴まれる。
「離してください月華が待ってるんです。」
「分かってる、でももう10時を過ぎてる。」「正面玄関から入ったら怒られて先生と同室にされるぞ丸一日。」
「それは困ります。」
私を謎の入り口から通し、お前なら壁から登って部屋に入れるだろと言われる。私をなんだと思ってるんだ。
一応警察への通報なんかをお願いしたら、すぐ居なくなってしまった。先輩は頼りになる。
コンコンと窓を叩く。先輩の言う通り私は壁を登った。月華ちゃんが窓を開けてくれる。
「ただいま。」
「おかえりなさい先輩」泣きそうな顔で抱きつこうとしてくる。
「ごめんごめんちょっと待って、壁登って来たから手が汚いし土足なんだよね。」
月華ちゃんにタオルを持って来てもらい靴を玄関まで運んでもらい。ようやく部屋に入れた。
「月華ちゃんもお風呂まだだよね。」
「あんな状況で入れるわけありませんよ。」今にも泣きそうな顔で、いやもう泣いてるね。
「一緒にお風呂入ろ」
一緒にお風呂に入り、こんな事があったよーとか私がどうやって逃げて来たかとか先輩に久々に会ったよとか諸々の話をした。
「本当に心配したんですよ。」
「だから全速力で帰って来たよ。月華ちゃんも無事でよかった本当に。」
「先輩その傷はどうしたんですか。」
「あー拘束された時にちょっとね無理矢理破壊したせいだね。」また泣きそうな顔になる。月華ちゃんは心配してる時はわかりやすいらしい。頭を撫でたら少し笑顔が見えた気がした。
お風呂から出た私たちは寝る準備を済ませ、ベットに入り電気を消した。なんだか濃い1日だった。月華ちゃんは泣き疲れたのか眠そうだった。
私はまだ興奮していた。自分も相手も追い詰め、追い詰められる闘いに。こんなんだから孤高の化け物なんて言われるんだ。
私は戦闘狂らしい。




